出会い口説きALLOK

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男と女の欲望のうごめく日本一危険な喫茶店の一日

組事務所、風俗、キャバクラ、ホストクラブ、金融屋などに囲まれた歌舞伎町の風林会館ビルの1階という抜群すぎるロケーションで世に喫茶店は数あれど、この店ほど緊張と恐怖におびえつつコーヒーを飲まねばならぬ場所はなかろう。そんな喫茶店パリジェンヌの一日をおった。

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最初の現場は、新宿歌舞伎町の喫茶店「パリジエンヌ』だ。世に喫茶店は数あれど、この店ほど緊張と恐怖におびえつつコーヒーを飲まねばならぬ場所はなかろう。組事務所、風俗、キャバクラ、ホストクラブ、金融屋などに囲まれた歌舞伎町のランドマーク的な存在である風林会館ビルの1階という抜群すぎるロケーション。

過去、ヤクザとチャイナマフィアの抗争(死者1人!)やヤクザ同士の発砲騒ぎなどVシネマばりの事件が次々に勃発した、そのデンジャラスな歴史。ここが、日本一過激な喫茶店であることに、誰も異論を挟む余地はないはずだ。

私自身、歌舞伎町には数え切れないほど足を運んできたが、パリジェンヌには一度も入ったことがない。外から中を見れば、赤と金を基調にした古いョ-口ピアンテイストの店内は実に魅力的ではある。が、同時に、席に仔む凶悪な顔の殿方たちの姿を見れば、どうしても二の足を踏んでしまう。

しかし、いま私は現場に赴く。いったいどんな客がどんな会話をしているのか。パリジエンヌの1日を観察することで、歌舞伎町の『今』を把握したい。お願いだから、発砲はご遠慮願いたい。金曜日、私は風林会館の前で、少なからぬショックを受け立ちつくしていた。パリジエンヌが改装されていたのだ。フロアは今までの半分ほどに縮小され、怪しげで重厚なヨーロッパ調の店内は、ファミレスか駅前のコーヒーショップのようなパステル調の味気ないものに変わっている。まったく別の店のようだ。やや拍子抜け。だが、安心はできない。

午後9時、入店。80前後ある座席はほぼ満席だったが、かろうじて壁際のソファに空席を発見。付近に危険そうな人物がいないことを確認し、壁に背を向けてソファに腰をおろした。本日は、このテーブルで朝5時まで粘る所存だ。ノートを広げ、さも勉強中のような顔を作りつつ、観察開始。店内が明るいのでそれぞれの客がよく見える。
男性客は全部で30人ほどか。ガラの悪そうなスーツ組や若い私服組が入り乱れ、カップルを含めた残りがキャバ嬢などの女性客だ。フロアは、出入り口の階段を隔てて大小2つのブロックに分かれている。

私がいるのは大。小の方は、と目をやれば、フロアの最奥に、緊張感みなぎるスポットができあがっていた。スキンヘッドの凶悪な顔にビロード生地のジャンパーを着た40代風の男性と、アイパーでトップを真っ平らに整えた黒サングラス&黒スーツの若い衆風が顔を近づけ話をしている。何やらややこしい問題のようだ。スキンヘッド氏はコーヒーを口に運ぶ度に店内を見渡す。そのスジの方特有の生態。うっかりすると目が合いそうだ。いったんコーヒーを頼み、左隣の席に目をやる。と、妙な光景が。

「はい、申しわけありませんでした……」気の弱そうな私服男性1人に対し、パリっとしたスーツを着込んだ短髪メッシュとオールバックの強面2人組が謝罪している。私服はどう見てもカタギ。2人はヤクザか金融屋にしか見えない。どんな下手を打ったんだ?いや、カタギに見える私服男、実は意外に大物かも。結局、何一つ状況のわからぬまま、3人組は、分ほどで店を出て行った。
入店から30分。改めて店内をチェックしてみよう。前方の丸テーブルで、体格のいいカジュアルな服装の若い男性3人組が韓国語を話している。その横では、ホストかボーイか風俗店員か、といった黒スーツ2人組が談笑中。さらにその横のテーブルではビールを飲む長髪の業界人風中年男性が、相手の女性といちゃついている。

しばらくして数組の黒スーツチームが帰り、入れ替わるようにして中年カップルや観光客風の中年外国人男性客などが続々入店してきた。店内は比較的、柔らかな雰囲気だ。午後10時。客の数が10人程度に減った。数組いたキャバ嬢と中年の客風男性もいつの間にか消えている。同伴出勤か。私自身は、ようやく店に馴染んできたところ。何か面白いこと起きないかしら。ドンパチは勘弁だけど。
男子が入店し、彼女の元へ。「おなか空いてないの?そうかアハハ、死んじゃうぞ?」
そんな口説き文句でどうにかなるのか、オッサン。ユルイ会話を流しつつ、逆フロアに目をやる。いる。スキンヘッドとサングラスの2人組がまだ粘ってる。3時間以上も同じ場所で粘っているのは私と彼らだけだ。

別の若い衆風情が入ってきて、スキンヘッドの男性に何か伝え、深々と頭を下げた。あの一角だけヤクザの組事務所になっている。12時45分。縦巻きパーマに明るい色のスーツを着たキャバ嬢風が連続して来店。みな同じように少し遅れて小金持ち風の中年男性が現れて席につく。私の隣のキャバ嬢と客は、ゴルフのレッスンがどうしたこうしたと、相変わらずユルーイ話を続けている。いったんトイレ休憩を取り、席に戻ると、しばらく空いていた左隣の4人がけテーブルに、20代南米系の白人女性と、よれたスーツを着た中年男性が座っていた。

「名前教えて?電話番号は?明日休み?」
男性に質問を矢継ぎ早に浴びせられ、たどたどしい日本語で返事を返す南米女性。仕事上の関係で、まだ出会って問もないようだ。そのテーブルに見覚えのある顔が現れた。風林会館の一帯を縄張りにするこの道20年の歌舞伎町案内人である。

以前、歌舞伎町を取材した際、大いに力になっていただいた。話しかけようか迷ったが、こちらにまったく気づいていないご様子。同席の男性と神妙な顔つきで話中だし、ここはお邪魔はしまい。1時20代後半のスーツ男性と、若い美人2人のチームが入店。女性2人はどちらも完壁な日本語と韓国語を操っている。

ハイレベルな美人バイリンガルを2人も連れて歩く男。金持ってんだろうな。1時10分。再び店内が空き始めた。右の席では、どこかのお店の調理人らしく、白い調理服を着た2人組が疲れ果てた顔でコーヒーをすすっている。ガラガラになった店内に、尖りブーツにカゥボーイハットの男性と、ジーンズに仕立てのいいシャシとベストを着た長身の犯代男性2人組が入ってきた。1人は不細工だか1人はイヶメン。歌舞伎町には似つかわない洗練された雰囲気だが、もしかして…。「今日寒いわね〜」「フフ、そうね」やっぱゲイでした。

パリジエンヌの入った風林会館ビルは交差点に面しており、ガラス張りの店内から区役所通りを行く歩行者が見える。ほとんどがホストやキャバ嬢だが、そこに突如三味線を持った20代の男性が1人で現れ、歩道の柵に腰掛けた。それを見て、先ほどのゲイ2人組が話している。

「あの子、三味線なんか持って、なんであんなとこ座ってんのかしら」「寂しいのよきつと……ああ、何かいいことないかしらねえ」
演技がかった言い回しが、実に面白い。1時30分。30代角刈り男性が1人で入店、携帯を手に大声で誰かと話し始めた。

「え!今日は無理だって。明日行くから!」かなり飲んだらしく顔が赤い。飲み物を運んできた店員に砂糖が少ないと大声で文句を言っている。大丈夫か。

思わずスキンヘッド氏の組事務所一帯を見るが。幸か不幸か彼らから角刈り男は死角になっている。とりあえず、接触はなさそうだ。2時。角刈り氏の横に、スウエット上下に金髪サングラスとセカンドバッグという、いかにも金融屋風の若い2人組が携帯で話しながら着席。しばらくしてもう1人、若い黒スーツの男性が同じく携帯で誰かと会話しながらその席に加わった。同じテーブルに座った3人がそれぞれ携帯で誰かと会話しているのはかなり異様だ。こちらも別業種の事務所のようなものか。

東西にヤクザと金融屋の簡易事務所が完成した。2時30分。少々疲れたので一旦店の外へ。風林会館前の交差点周辺の路上には、大量のホスト、キャッチ、ヤクザ風の男性たちがたむろしていた。軽く100人はいるか。と、偶然にも知人のヤクザ氏を発見。近くのビルでキャバクラを経営しているやんちゃなナイスガイなのだが、ただいまキャッチの男性と打ち合わせの途中らしい。挨拶だけして早々に別れた。

2時55分。店に戻ると、体重100キロ超のモロヤクザ風な男性が、先ほど私のいた席に座っていた。スターウォーズ激似のあまりに凶悪なルックス。巨大な頭に毛髪は1本もなく、首は完全に肉で埋まっている。そのすぐそばのテーブルに、側近らしき男性と美人ホステスが2人。そのまた横のテーブルには4人の男たちが陣取っている。東西の組事務所は、外出した間に消滅したようだ。
「お前、35万も使うといて1人しか呼ばんとは、どういうこっちゃねん!」ジャバザハットが怒声をあげている。関西方面からいらした方らしい。
「おう、ガム買うてきてくれ!」すぐに子分の1人が立ちあがり、外にすっ飛んでいく。上機嫌なジャバザハット。今度は、側近男性の背中を思い切りどつき始めた。「ドムッ」
店内に鈍い音が響きわたる。かなり強烈な当たりである。ジャバザハット酔っている。大いに酔っている。にしても、気の毒なのはパリジェンヌの店員さんたちである。3人でスタッフを動かし
ているのだが、みなさん、青白い顔をして、ひたいに汗を浮かべている。その気苦労は並大抵であるまい。時給はいくらなんだろうか。3時。20代のいかにも家出少女風の2人が入店。ピンク色のスウェットを着たデブと、ときおりしゃくれ顔をする癖を持った細いブサイク少女のコンビだ。

席につくや、デブがバッグからかつば海老せんを取り出しボリボリ食べだした。そいつを水で勢いよく流し込む。マジですか。店員さん、えびせんの持ち込みOKなんですか。一方、反対側の席には同い年ぐらいの美人キャバ嬢2人組。表情やタバコを吸う仕草にイイ女を演じようとする緊張感が漂っている。同じ性別、同じ生き物だというのに、この差はなんだ。4時を過ぎた。空はまだ暗いが、外を歩く人の数も少し減ったようだ。現在、客の人数は、人程度。このまま何事もなく取材も終了か。そう思ったときだ。

「…ってんじゃねよ」「やってねえよ」「おい便所は向こうやで、向こうや」乱一世をかなりコワモテにした男性と、女性1人を含めたその仲間たち計4人が、大声でわめきながらなだれ込んできた。乱一世が威嚇するように周囲の客をジロジロ見ている。目が合った瞬間何かされそうな勢いである。

「おい文句ばっか言ってんじゃねえぞ」
友人らしき人物の胸に水平チョップを食らわす一世。テンション高すぎ。シャブでも食べてらっしやるんでしょうか。ちょうどキャバクラが終わる時間なのか、このころから2人組の女性客が連続して入店、あっという間に、乱一世チームの2人と私以外は、すべて若い女性客という編成になった。
店内に化粧品や香水の匂いが立ちこめ、どこを向いても結麗に着飾った女が座っている。キティちゃんの着ぐるみ女もいる。黒人と南米系の外国人ホステスチームもいる。完全に女の園だ。
4時。若手ホストの皆さんや中年男性の酔客も次々と入店して残りの席を埋めていき、満席になった。みなほろ酔いの上機嫌で郡実に楽しそうだ。なんだかこちらまで幸せな気分になってきた。
4時40分。窓の外がうっすらと明るくなり始めてきた。客を乗せたタクシーが信号の前Gで長い行列を作っている。さて、そろそろ帰ろうか。