出会い口説きALLOK

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兄による近親相姦の性的虐待を受けて育った女性

兄による近親相姦の性的虐待を受けて育った女性が頻繁に強烈なリストカットをやらかしていると言っている。知り合いになった相手が自殺するのは絶対に嫌だ。会って慰めてみよう。

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「あのお、編集部さんですか?」今年8月の夜だと記憶している。電話の主は、低く上擦るような声の女。聞いてもいないのに、最初に山本良子(仮名)と名乗った。情報は、出会い系チャットの仕事の裏側である。現在、某サイト運営会社でバイトをしているため、内情を詳しく語れるのだという。正直、手垢にまみれたネタ。申し訳ないけど、ボツだ。「もう3カ月以上やってるんで、いろいろ話あるんですけど…」「いや、それはわかりますが」
この調子で、ずるずると会話を引き延ばす。深夜の電話には、よくあるパターンだ。加えてこの女、強引に話を脱線させ、プライベートなグチまでこぼすからたまらない。日く、「彼氏に恵まれない定職につきたい」云々。ああ、もうウンザリだ。女が一息入れたところで、すかさず『何かあったらまた』と受話器を置いた。

翌日、女からメールが届いた。今度は職場の不平不満である。まったく、こんな愚にも付かぬことを。斜め読みし、最後の下りにたどり着いたとき、思わず背筋が寒くなった。

『寂しいから、バイト先のトイレで手首を切って、ムカツクから血を壁になすりつけてやりました』ご丁寧に、メールには、出血する左手首の写メまで付けられてあった。なんだコイッは『あんま無茶しないほうがいいですよ』対して、またすぐにレスが。
『今日は、静脈まではやらなかったんで、ぜんぜん平気です』どうやら、頻繁に強烈なリストカットをやらかしているらしい。この女、なぜそんな死にたい?少し編集者的な興味が湧いてきた。女の実態を探れば、何かネタになるような話が出てくるのではないか。で、餌をまいた。

『静脈ってそんな勘弁してくださいよ・悩みあるなら、いつでも間きますんで、電話ください』10分後、電話が鳴った。「今日は、東急ハンズで万引きしたんですよ」
「万引き?もう止めた方がいいすよ」「そう、最近リスカだけじゃなくて、万引きも癖付いて。昔は、もう少しイイ子だったんですよ」
「いやあ信じれませんね。やっぱ手首を切ってたでしよ?」以後、こんな調子のやり取りが1カ月ほど続いた。性急にネタを引き出すより、じっくり話し相手になってやるのが賢明と考えた。良子は壮絶とも言うべき半生を送っていた。神奈川県鎌倉市で生まれ、家族は両親と兄の4人。小4の頃に隣の平塚市に引っ越し、現在も、この自宅に親と同居している。虐待は7才の秋から始まった。

兄による近親相姦だ。乳房を操まれたり股間をまさぐられたり。ぎりぎり一線は超えていないが、嫌な顔をすれば暴力を奮われた。それがほぼ毎日、20才まで続いたのだという。暗い顔で小・中・高校生活を送り、卒業後、事務職に就いた。が、社内の陰湿なイジメにあい、1年もたたず退社。転職先は、渋谷のイメクラだった。初めて自殺を図ったのは、22才の夏のことだ。
渋谷から移籍した吉原のソープで、客をイカせられなかったことを店員から怒鳴られ、衝動的にハサミを手首に押し当てた。以来、彼女は何かにつけて自らを傷付ける行為に走る。リストカットはもちろん、壁に頭をぶつけたり、殺虫剤を口に向けて噴射したり。時に、通販で購入したスタンガンをこめかみにあてがったこともあったという。28才で精神病院への入院を余儀なくされ、ある
程度、症状を快復した1年後に退院。現在は、少しずつ普通の暮らしを作りかけているという。

「今、駅のホームに1人いるんですけど」その日、いま新宿にいるという良子の声は、いつにも増して暗かった。何でも、テレクラでエンコーの約束をしたが、待ち合わせ場所に男が現れなかったという。きっと自分の容姿を見て素通りをしたんだ、と溜息混じりに話す。
「で、階段に座って、缶ビール飲んでるんですよ」ふと、会ってみようと思った。いや、正確には、良子が俺に会いたがってるように感じた。2カ月近くにわたり、話を聞いてきた間柄である。彼女の《何とは無しの気持ち》は、以前より薄々感じ取っていた。

「ヒマだったら、これからビールでも呑みましょうか」「あっ、いいですね!」
待ち合わせは、1時間後の夜8時、新宿駅前と決まった。受話器を置いて、しばし考えた。いったい、俺は彼女に会って何をしようというのだ。改めて、悩みの相談でも乗ってやるのか。それとも、まさか口説くのか?冗談だろ。エンコー相手にも拒否られた女だぜ。だったら俺は何をしに。

整理が付かないまま、新宿へ。約束のアルタ前広場に足を運ぶと、前方で1人の女が携帯をイジっていた。ちよいと太めの短髪。以前に写メを送ってもらっていたこともあり、すぐに良子だと気づいた。にしても、この妙な威圧感はなんだ。俺に気づいた良子に、精一杯の笑顔を返した。
同じく笑みを向けてきた彼女の右頬には、真新しい切り傷があった。近くの居酒屋のカウンターに座り、ビールで乾杯。さて何を話そうか。のっけから『自殺』だの『手首』だのってワケにもいかないだろう。

「そう言えば、ペット飼ってるって間いてたけど」「ああ、ネコですか。一昨日、首締めてやりましたよ」「え?」「コンビニで万引きが見つかっちゃって。逃げたんですけど…」
店員に路上で捕獲され、思わずその場に寝転がり、持っていたメスで手首を切ったそうだ。「車に向かって『体を蝶け』て言ったんです。そしたら警察に怒られたんで、家に帰ってネコにお仕置きしました」「・・・」ドン引きする俺など目に入らないかのように、彼女は鞄から刃渡り3センチほどのメスを取り出した。うれしそうに眺め、こちらに差し出す。何をどうしたいんだ。

この後も、良子は異常な話を自慢げに語り続けた。時計の針は、すでに10時を回っている。普通のデートならば、このあたりでホテルにしけ込むのだろう。が、隣にいるのは…。もういいだろう。そろそろお開きとしようじゃないか。伝票に手をかけ、ふと彼女を見ると、そのクリクリとした目が、さらに大きく見開いた。

「あのお、私って、男運ないんですよ」「ああ、そうなの」浮いた尻を、また元に戻す。

「ソープにいたときは、チンカス野郎に編されて、130万くらい取られたし」「マジで?」「今日もテレクラで、ぜんぜんエンコーできないし」「まあまあ、それはねえ」
「…あの、タダでもいいですよ」「………何が?」

不覚にも動揺した。コイッ、誘ってやがる。いやいや、俺はそんな気はないんだ。今日は、素直に帰ろうじゃないか。
駅前で握手して別れた翌日、メールが送られてきた。『マンコにペットボトル突っ込んでみました〜写メは夜のオカズにどぞ☆きゃはは』
さらに、その翌日には、バイト先の出会い系チャットのURLを送り付けて来た。無料でライブ動画を閲覧可能なため、ぜひ覗きに来てほしい、とある。さっそく、良子に連絡を取り、指定のぺージにアクセスしてみた。

と、画面の向こうで、シミーズ姿の彼女が手を振っている。おもむろに胸を晒けて、自分の乳を操み、そのうちに右手は股間へ・ベロンと出した舌は、楕円を描いていた。良子と知り合って2カ月強。俺は、少々気になりだしていた。徐々に増加気味である彼女のリストカット回数だ。

もしかすると、俺が過去のトラウマをきき出したことで、良子の精神状態に何らかの影響を及ぼしたのではなかろうか。気にかける必要は無いのかもしれない。が、もし、妙な関係ながらも、知り合いになった相手が自殺するのは、俺は絶対に嫌だ。

良子の病が治ればいいと願うし、快活な顔で日々を送るようになれたら彼女にとっても幸せだろうと信じる。だからといって、俺にできることは何一つないのだが。良子から映画に誘われた。『チャーリーとチョコレートエ場』が観たいのだという。断る理由はなかった。待ち合わせの渋谷駅で、彼女は開口一番言った。「映画、おごってくださいよ!」

さらに、腰に付けていたポーチを目の前に付きだし、声を荒げる。「お金ないんですよ。だから、さっき東急ハンズで、これも万引きしたんですから」「…そうなんだ」
映画の後は、露店を冷やかしたりコーヒーを飲んだり、デートらしいことを一通りなぞった。良子が楽しい気分になってくれたらと思う俺がいた。道玄坂を登ってる途中で、思い出したように彼女が言った。

「その向こうに、働いていたイメクラがあるんですけど、見に行きませんか?」「うん、いいよ」良子の後に続き、路地を右へ左へ・客引きたちを尻目に、風俗街を突き進む。

「あつ・あの店なくなったんだ。向こうに飲み屋あったんですよ」「そうなんだ…」「でも、すごいなあ」

街の移り変わりように、良子は興奮し、くったくなく笑っている。歩きながら、俺は少々、唐突な質問を投げかけた。「ねえ、いま楽しみって何?」「別に…。あるんですか。楽しみ」
そう言われて、俺は口を閉ざした。仕事やセックスかと言えば、少し違う気もする。自分の楽しみって。

「ないじゃない」「だね…」「みんな、楽しみなんて、ないと思いますよ」「どうして?」「楽しみなんて、うそ。人間って、ずっと寂しいものでしよ。誰といても、そう。もしあったとしても、ぜんぶ寂しさを紛らわすための、ちょっとした道具。少なくとも、私の場合はそう」
イメクラを見つけた後、居酒屋へ・前回と同じような、バカ話をして、俺たちは店を出た。帰り際、ほんの少しだけセックスをしたいと思ったのは、『ずっと寂しい』という彼女の声が頭に残っていたからかもしれない。