出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いや口説きに体当たりで挑戦したブログです。

横浜のテレクラのポテンシャル

横浜のテレクラのポテンシャルは計り知れない。
かつて市内だけで数十店舗あったという横浜のテレクラだが、いまや残るは横浜駅前に位置する一店舗のみ。街を行き交う人もまばらな平日の昼下がり、店内に足を踏み入れた。入ってすぐに電話が鳴った。
「もしもし」
少し上品な声の女性だ。40才くらいかな。
「お姉さんはワリキリですか?」
「うん、そういうのも含めて、どうするか話そうかと思ってるんです」
「と言いますと?」
「ワリキリするかどうかは、これからお互いお話しして決めていこうと思うんです」
「はあ」
「先に言っておきますけど、こういう互いの顔の見えないところでは、信頼感が重要じゃないですか」
あれこれゴタクを並べ始めたぞ。どうせ金額の交渉をしたいだけなんだろうけど。
「たしかに、女性からすればいきなり会うのは怖いでしょうね」
「そうなんです」
「ちなみに、ワリキリ以外で会うことってあるんですか?」
「それは考えてないですね」
結局やることはエンコーだけじゃないか。
「お兄さん、ガチャ切りってしたことあります?」
急に話題を変えてきた。
「いえ、ないですね」
「あの、最初に断っておきたいんですけど」
「はい」
「私、横浜駅前の待ち合わせじゃなけいど大丈夫ですか?」
「どちらですか?」
「綱島ってご存知ですか?」
電車で15分ほどの場所だ。まあ問題はない。
「はい、大丈夫ですよ」
「あら、本当ですか?」
「そこまで遠くないので。お会いしましょうか」「私、いつも近くにいないってわかったらガチャ切りされちゃうんですよ」
なるほど、だから事前に確認しておいたわけだな。用意周到な人だ。
「全然大丈夫ですよ。ちなみに、ワリキリでお会いする男性の条件ってありますか?」
「それより先に言っておきますけど、私は40才なんです。お兄さん、若いですよね? 興奮できますか?」
99%興奮できないが、格付けする以上アポるのが責務だ。
「大丈夫です。お姉さんは苦手なタイプの男性っていませんか?」
「苦手な人っていないんですよ。先に言っておきますけど、私テレクラ始めて日が浅いんですよ。だからわからないですね」
「先に言っておく」ことが多い人だ。いったい何を恐れているんだ。
「まだお会いしたいとは思わないかんじですか?」
「…」
「あの、なにか質問がありましたらお答えしますけど」
「お兄さん、今日の服装は?」
「白いワイシャツで、下は青いデニムですね」
「時計は?」
「ノーブランドの茶色い時計です」
「バッグは?」
「皮の茶色いトートバッグです」
服装を聞いてくるってことは、もう会う前提ってことでいいんだよな。
「これからワリキリでお会いできるってことですかね」
「いえ、まだ考えさせてください。お仕事されてるの?」
「はい、普通の会社員ですよ。お姉さんは?」
「…1万5千円でいいですか?ホテル代は別にしてもらって」
この人、話を聞いていないのか。なんだ、この気の変わりようは。
「綱島に着いたら連絡してください。駅を出たところにバス停があるからその前で待ち合わせしましょう」
「わかりました。20分後には到着してると思います」
番号を交換して、店を出た。食品関係の仕事をしているというヒロミさんの服装は、茶色いコートに黒いパンツ。「すぐにわかるから大丈夫」とのことだ。15分ほどで綱島駅に到着した。指定されたバス停に向かうと遠くからでもヒロミさんの姿が確認できた。バス停には他にも女性が立っていたが、茶色い毛布をかぶった雪だるまのような彼女以外、エンコーしてそうなビジュアルの女性はいないからだ。
「お待たせしました」
「ああ、どうも」
東南アジア風の顔つきをした太眉の彼女が、やはりヒロミさんだった。茶色いダボダボのコートに身を包み、下は黒のジャージにスニーカー。右手で部活帰りの野球部のような大きいバッグを抱え、左手は同じデザインの小さいバッグを抱えている。
「荷物大きいですね」
「ああ、これは仕事着ね」
「食品関係でしたっけ」
「そう。シフト制でいろいろ惣菜つくってるの」
電話ではけっこう丁寧な言葉遣いだったが、今ではすっかり下品なおばさんだ。まんまと騙されたな。彼女の案内で綱島街道の近くのラブホテルに入った。ソファにどかっと腰を落ち着けたヒロミさんが、ポケットから取り出したタバコはゴールデンバット。おじいさんが吸う安価な銘柄として知られている。
「ずいぶん渋いタバコ吸ってるんですね」
「これ? ゴールデンバット。好きなのよ」
「昔からゴールデンバットなんですか」
「うん」
ヒロミさんはゆっくりとタバコを吸いながらテレビをザッピングし始めた。慣れてるなあ。
「お住まいはずっと横浜なんですか」
「うん、実家。引越したりもないね」
「じゃあ出かけるときは横浜駅のほうに行かれるんですかね」
「ううん、出かけない」
「え、買い物とかされないんですか?」
「行かない。だいたい近くで済ませちゃうもん」
「都内も行かれたりしないんですね」
「しないしない。昔はやんちゃしたりもしてたけどさ」
そう言ってゴールデンバットの煙をフーッと天井に向かって吹かす。
「やんちゃって言うのは、飲み明かしたりですかね」
「お酒は飲まないから」
「じゃあ男の人と遊んだり?」
「…」
 聞こえなかったのか?
「やっぱり男の人と出かけたりとかですかね」
「…ここ、ちょっとクーラー効きすぎてるね」
よくわからないタイミングで人の話を無視するタイプらしい。
「お兄さん、こういうので会ったことってけっこうあるの?」
「そうですね、何人かお会いしてますね」
「でもさ、テレクラで恋愛に発展することはないからね」
「そうですか」
「えーだって当たり前でしょ!こういうとこでは彼氏つくる気ないもの。私はテレクラはワリキリだけ。そう決めて始めたから。それはちゃんと言っておくね」
なんだか、いきなりこっちがフられたみたいで不快だな。ゴールデンバットを吸ってい
る彼女の手元に、赤いラバーのみすぼらしい時計が見えた。
「その腕時計おしゃれですね」
「これ?これね、ダイソーで買ったの」
100均の腕時計をつけてる大人は初めて見た。
「今日は赤だけど、あとは青と黒、それからピンクも持ってるよ」
「おしゃれさんなんですね」
「でもさ、赤は今日の寒さだと季節感がないわよね」
そこまで気が使えるなら、他の店で買うという選択肢は浮かばなかったのだろうか。そういえばコートの中のインナーも赤い。
「その赤い服はどこなんですか」
「これはね、どこだったかな?えっと商店街かな。そうそう、今日は時計と合わせてるの」そういうオシャレもあるのか。
「原色系も着こなすんですね」
「うん。ダイソーはね、けっこうアクセサリーなんかもあるし、色違いもまとめてそろえられるからいいのよ」
ダイソーコーディネイトを説く女性など、テレクラじゃないと到底お目にかかれないだろう。貴重な体験だ。ダイソーさんが赤い服を脱ぐと、ねずみ色のてろーんとした肌着が現れた。
「これもね、ダイソーで買ったの」
「へぇ、買い物上手ですね」
「しかもね、これメンズなの」
「それをね、ここのところ(襟の部分)を自分で切って広げてるの」「アレンジしたんですね」
「そうそう」
アレンジした肌着の両脇から、ワキ汗が染み出ている。すぐにぷ〜んとワキガの臭いが漂ってきた。
さっさとシャワーを先に済ませて待っていると、シャンプーハットを装着したまま、ガウンを羽織ったダイソーさんが現れた。就寝前のお母さんか?ダイソーさんがテレビのリモコンを持ち、慣れた手つきでAVに合わせる。画面に映るのは、バス車内で痴漢されているOLの姿だ。
「音量ちょっと小さいわね」
「いや大丈夫ですよ」
「だめ、これじゃ女の人の声が聞こえないでしょ」
「はあ」
「ちょっと待ってね」音量が上がり、テレビからしっかりあえぎ声が聞こえてきた。この人、男を興奮させる役割をAVに外注するつもりらしい。たまにいるんだよな。
「じゃあ攻めてくから仰向けになって」
ベッドに横たわり、黙って指示に従う。
「もうちょっと左かな。真ん中くらいに寝て」
「こうですか?」
「そうそう」
シャンプーハットをかぶったままのダイソーさんが近づいてきた。
「あ、それと明るいうちにアレ置かないと」
彼女はベッド上部の照明ボタンの位置にティッシュを一枚敷き、その中心にコンドームを置いた。なにもかも準備第一の人だ。さらにAVの音量が上がり、照明を落としたところでプレイスタートだ。チクチクとした舌使いで乳首を吸われながらの、しゃかしゃか手コキが始まった。太い腕にホールドされているため、安定感は抜群だが、手の握りがキツすぎてぜんぜん気持ちよくない。
「ちょっとキツいですかね」
「なに? Mなんだ?」
 へ? 「いえ、刺激強すぎてくすぐったいっていうか」
「あーMなんだ!」
ついに日本語が通じなくなった。
「Mってわけではないんですけど。あの、それだとちょっとあんまり気持ちよくなれないんですよ」
「……普段はオナニーいっぱいしてるの?」
話を逸らしてきた。ひょっとすると難聴なのかもしれない。
「すみません。手を弱めにできますか?」
「あーMなんだー?」
こりゃダメだ。どうにもしようがない。
「すみません、このままだとちゃんと立たないんで入れられないです」
「じゃあ、手でする?」
 これは通じた。
「手はキツいんでフェラってできますか?」
「それはできない」
 しっかり通じてるし! 結局、埒が明かず一秒も興奮できないままプレイは終わった。プレイ時間、わずか7分。ダイソーさんはガウンを着たままフィニッシュだ。7分間の労働を終えたダイソーさんが再びゴールデンバットに火をつけた。
「ほんとにテレクラは最近始めたんですか?」
「高校生のころからかけてたかな?でもこうやって会うようになったのはほんと最近だね」
「それは、なにかきっかけがあったんですか?」
「…あ、そういえばこのキティちゃんのハンカチもダイソーかな」
最後までよくわからない人だ。確実なのは、彼女が今日のワリキリ代を握り締めてダイソーへ向かうだろうということだけだ。