出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いや口説きに体当たりで挑戦したブログです。

現実がぱっとしないから二次元のアバターはモテモテにしたい

 

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スマホゲーム。たかがゲームをぴこぴこするだけのサィト、金が必要な理由などどこにもない。
・・・ように思う。
ところが、スマホゲームにハマったがため、借金地獄に陥った女性がいる。
現実がぱっとしないからこそ、彼女はアバターのファッションを誉められて、浮かれた。チヤホヤされて舞い上がった。サィトで一番の女になりたかった。
自身が借金まみれでみすぼらしくなる一方、その分身だけはどんどん着飾られていった。

2年前、神奈川県の看護学校に通う私は、食品工場でアルバイトをしながら築25年のぼろアパートで一人暮らしをしていた。週に4 日は工場へ直行し、ラィンを流れてくるお弁当に具材を詰めこむ。終わると家に帰ってテレビを見ながら寝る。
毎日、何も起きなかった。出来事ゼロ、感情の起伏もゼロ。度を過ぎた平凡ぶりだ。
なぜこうなったのか。
それは容姿のせいだ。目は一重で細く、頰骨が出ているので、小さいころは「原始人」なんて呼ばれていた。彼氏なんてできたことがないし、この先もできるとは思えなかった。
看護学校の友達はいるにはいた。でも親友ではなかった。飲み会や買い物に誘われても、私はそのたび理由をつけて断った。どうせ楽しくないから。そのどちらにも興味がない私には退屈なだけだった。
当時、私は青春真っ盛りなはずの19才だったそんな私にある日、同じクラスの子がグリーをやろうと誘ってきた。ゲームは家のプレステでコしながらゲームをした。面白いワケではないけれど、ヒマつぶしにはなった。
登録して数日、紹介してくれた友達がメールを送ってきた。
<アバター買いなよ。そのままじゃダサィぞ!>
自分のページに、白いT シャツとスカート姿の女の子がいる。これが私の分身、アバターだ。他人のアバターはなるほど派手な服やアクセサリーをつけている。私もこんな風になりなって?
いらないお節介だと思ったけれど、これもお付き合いのひとつかと、言われたとおりにグリー内のアバターショップに行ってみた。髪型から上着、スカート、靴と、たくさんのアィテムが売っている。
それぞれ値段は150〜500ゴールド( グリー内の通貨単位)程度だ。
登録したときにもらった1000ゴールドで私は髪型と上下服、ミュールを買ってアバターに着せてみた。はい、これでいいで十分だ。
数日後、グリーのオセロをやっていると、ゲーム終了後に対戦相手からメールが届いた。

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<どぅも〜。そのアバター可愛いね>
<ありがとっ。でも普通だょ>
<コーディネートとか服のチョイスが上手いね。センスいい!>
なんだろっ、このふわっと浮かび上がるょぅな気分は。素直に照れてしまう。女の子って、着飾ると誉められるんだ。
浮かれてる自分が可笑しかった。だって私、首元のゴムが伸びきったT シャツ着てるのに。中学のときの短パン姿なのに。へんな感情が生まれてきた。
私の分身がかわいく思えてきたのだ。そこにいるのはただのイラスト。ただの目の大きい女の子。でも他の誰でもない私自身だった。
もっと磨いてあげるには、素敵なコーディネートをしなきゃ。

翌日からすぐクラスの知り合いに声をかけはじめた。グリーに一人紹介するたびに1500
ゴールドもらえるからだ。
流行の兆しを見せていたこともあって、とても友達とは呼べないょぅな子まで誘いに乗ってくれた。
集まったゴールドで私は髪型を買おうと思った。今のアバターは、現実の私と同じショートカッ卜。それは私を投影した姿だ。
でもなるべくならこの子は私から遠い姿にしたかった。ゲームの中まで、学校と工場とアパートを行き来する女の子でいる必要はないのだから。
目にとまったのはロングのエクステだつた。馬鹿みたいだけれど、エクステなんて付けたことも触ったこともない私は、購入ボタンを押すときに少し緊張していた。
でもいつたん別の私になってからは早かった。ユル系ワンピースにデニムのショートパンツ、胸元の空いたキャミソールに大きめのネックレス。どれも手に取ったこともないようなものばかりをアバターに着せてあげた。
反応は上々だった。オセロゲームの相手が言ってくれたのだ。
<服装カワィィね>
どうしてこんな一言がそれほど嬉しかったのか、今になれば冷静に分析できる。たぶんその歳になるまで私は、少なくとも女の子的な部分で誉められたことなど一度もなかったのだ。だからキレイもカワイイも自分に向けられる言葉じゃないと勝手に思っていた。そぅいぅことを言われる専門の子がいるんだと。
でも私のアバターはこうしてチヤホヤされている。まるで私自身のセンスをもてはやすかのように。うれしくなってまた服を買った。大人っぽいハットと、それに合うジャケットも。
<そのハット、似合うね>
<雰囲気に合ってるょ>
男の子からだけじゃなく女の子にまで誉められるって、下心からじゃなく本心から認められたってことだ。こんな経験も初めてだった。中学でも高校でも、私は必ずクラスでいちばん地味なグループにいて、周りになにかを賞賛されたことなど一度もなかった。
着せ替えしたばかりのころのチヤホヤが落ち着いてくると、すぐ新しい服を買いたくなってきた。しかしあいにくゴールドは使い切っている。
だからゴールドを買った。アバ夕ーショップには「ゴールドをもらう」のリンクがある。「もらう」とあるけど実際は「買う」で、100円から1 万円までコンビニ決済で支払うシステムだ。
とりあえず千円分買って、それでワンピースとレギンスを手に入れた。知り合いを紹介するより気兼ねがなかった。
着せた服が凡庸に見えてくると、またコンビニに走った。金額は3千円、5 千円とあがっていき、またたく間に1 万円分を買うようになっていた。
高額アバターを買い揃えるたび、みんなからのコメントは激増
<カワイイのばっかり持っててうらやましい〜>
<カワイイね、またチエックしにきます>
もう止まらない。工場バイトで貯めた貯金10万弱はすべてゴールドに消えた。何かを買う目的などなかったから、それはそれで別に良かった。
レアアクセサリーで人気が上がる一方で、学校での私は嫌われ者になっていた。入会を勧めてばかりいるくせに、遊びの誘いはいつも断るからのようだ。
次第に学校から足が遠のいていった。決定的だったのは、ロッカーに置いておいたナースシューズがなくなっていたことだ。バィ卜で貯めたお金で一番最初に買った大事なモノだった。
優先順位がこのときはっきりと変わった。実生活よりもグリー、うわべだけの友人よりもアバターを誉めてくれる人たちのほうが大切になった。
浪費は加速した。
発端はグリーにいた女の子だった。彼女の着ている服やアクセサリーは、ワタシが今までみたことのない珍しいモノばかりだった。
どこで手に入れたのか尋ねる
と、ヤフオクだと答が返ってきた。
なるほど、ヤフオクには膨大な数のアバターが出品されていて、どれも見たことのないレア物ばっかりだ。値段を見て驚いた。もちろんヤフオクなのでゴールドではなく現金での取引なのだが、その額が1アィテム7 万円も10万円もするのだ。とても手が出ない。
毎日、不安でたまらなくなつた。
いまこの瞬間、レアなアィテムは売れてしまったのかも。買った子たちはチヤホヤされているのかも。私のほうがセンスがあるのに。お金さえあれば、余裕で勝てるのに。
頼れるのは母親しかいない。私は秋田の実家に電話をかけた。
「お母さん、10万円貸して欲しいんだけど…」
「そんなに、何に使うのよ」
言葉につまった。携帯メールすらうまく使いこなせない母親になんて説明のしようがない。仮にできたとしても納得などしてもらえないだろう。
「友達に旅行誘われてるから」
「そう。ちゃんと返してね」
母親を騙して振り込んでもらったお金で、私は「ちょいエロピンクワンピース」を落札した。ちょうど7 万円だった。こんな高い買い物は人生で初めてだった。アバターに着せてあげるだけで、ゲームも何もしていない子たちからコメントが入つた。
<スゲ、めつちやカワイイ!>
<友達になつてください>
アバターの着せ替えは、退屈な毎日に唯一生まれた張り合いだつたけどそれは現実の私に好影響を与えるものではなかった。
むしろお金のかかる趣味を持ったことで、私はどんどん普通のレールからはずれていった。
まず親に内緒で学校をやめた。食品工場のバイトを増やすためだ。バイト代は月15万円に増え、自由に使えるお金も10万円ほどになつたが、3 万円のフリフリ天使の羽や9万円のセクシーベビードールを買い揃えればもう何もできない。だからコンビニでも働きはじめた。
嫌でも付き合わなければならないコンビニバイトたちは鬱陶しくてならなかった。男も女もロから出てくるのはコンパや旅行、テレビの話題ばかり。関心を示さない私を除け者にする空気まで出してくる。この人たちは何も知らないのだ。私がグリーで超人気者だってことを。
馬鹿な客が、どこかのブランドショップの紙袋を抱えて悦に入っている。くだらない。アンタの持ってる服だか靴だかは誰でも買えるものなんた。それこそ、このあたりのしょぼい女子高生にだって。
私の「猫ミミメィド」は違う。「チュニック風レッドワンピ」だって違う。一握りの人間しか買えないレアモノなんだ。
このころの私は、自分の価値に気づかない人間がみんな薄っペらに見えていた。化粧をしろとうるさい店長も、どこで髪を切ってるんだと嘲笑するバイトも、とどのつまりは周りと同調しろと言ってるだけだ。横並びの人生を良しとする負け犬の考えだ。
その点、グリーの世界は健康的だ。そこにあるのは単純な勝ちと負け。カワイイと人気が出て、なにもしなければ無視される。
私はその世界で一番になりたかった。誰もがうらやむ一番の女に。
20 才の誕生日が過ぎたある日、私は禁断の実を食べてしまった。
アコムで20 万円借りたのだ。2週間後にはプロミスで20万円、さらにおばあちやんにも「子供を堕ろすことになって…」とウソをついて10万円を借りた。
生活が切羽詰まっていく。その不安は、アィテムを購入するとすっと消えた。みんなに誉められれば、借金のことは忘れた。
でも取り立ては容赦なかった。返済が1日でも遅れると電話がかかってくる。手持ちがなければおばあちやんに電話した。
おばあちやんがいつも多めに振り込んでくれるおかげで、私のアバターは新しい服を手に入れ、そのたび周りに羨ましがられた。借金を借金で返す生活がこんなにしんどいものだとは思わなかった。毎月2 〜3万の返済がこの先ずっと続くのかと思うと絶望的な気分になった。
工場とコンビニを辞め仕事をしようかとも考えはしたけど、この容姿じや無理だろうとすぐにあきらめた。なにより、男に媚びを売る女は好きじやな、ただ一度だけ時給に釣られ、隣駅のエッチなお店で働いたことはある。

まだ彼氏もできたことのないバージンだというの暗い店内で胸を触られる、果てしなく陰気な店だった。外ではペコペコしてるようなオツサンに、偉そうに説教までされた。
吐き気がして1 日で辞めた。
実世界では人との交流を避けまくっていた私も、グリーでは同世代の女の子の悩みを聞いてあげるようなしっかり者だった。しかもまったく経験のない恋愛の悩みなども。
< 男なんていくらでもいるよ>
どこにでも転がってるような言葉でも、オシャレ女王様の私が言うとみんなありがたがってくれた。
男の子からの誘いもあった。会いたい、遊びたいってやつだ。一応は断っていたのだけれど、去年の夏、たまたま同じ神奈川在住ということもあって、迂闊にもある男の子に会いに行ってしまった。少しキレイ目のシャツを着て。
横浜の駅前に登場したのはイマドキの男の子だった。顔はTOKI〇のリーダーみたいだっ
たけど。彼は会うなり、笑って言った。
「イメージと違うね」
すぐ逃げ出したくなった。私はすっかり麻痺していた。そうなんだ、生身の私はいつもこんな目で見られるんだった。
逃げたかったのは彼も同じだったのかもしれない。遊園地の約束だったのに、マックのお茶だけで帰ってしまったのだから。
アバターと私はすでに別人だった。可愛くて素直で誰からも好かれる彼女と、この世の全てが敵のような私。欲しいものは次々に手に入れる彼女と、普通の生活すらまともにできない私。
でも彼女は私を裏切らない。見下したりしない。髪を切れとも言わない。
いつからか、ときどき夢を見るようになった。ある日、急にグリーがなくなってしまう夢だ。
いつものページにアクセスしても画面は真っ白で、私の分身はどこにもいない。
目が覚め、彼女の姿を確認してようやく胸を撫で下ろす。この子がいるから私はなんとかやっていける。こんなに尽くしてあげた必のだから、どうかずつと離れずにいて。
いま現在も状況は何も変わっていない。どころか悪化している。
借金は70万円を超え、おばあちやんもお金を貸してくれなくなった。いよいよエッチな世界に本格的に飛び込むべきときなのかも。
ふとしたときに思うことがある。彼女は、私が本心ではそうありたいと願っている姿なのでは。.
他人のオシャレを小馬鹿にしているけれど、本音でそちら側に行きたいのでは。もちろん、今さらそんなことを肯定する気にはなれないのだけれど。