出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いや口説きに体当たりで挑戦したブログです。

ヤクザを二股かけた結末は

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彼と出会ったのは2年前、銀座のクラブだ。当時22才の私はその年の春先に長野県の片田舎から単身上京し、銀座の新人ホステスとして忙しい毎日を送っていた。

閉店後は誰かのアフターとして焼き肉や力ラオケに付き合い、週に2度の同伴出勤日にはタ方から蒙華な食事をする。世間は不景気のはずだったが、客はみんな金持ちで、周りはいつも賑やか、活気に溢れているように見えた。

その男、島崎(仮名)は常連客のー人で、40才の自称会社員。著名な政治家や芸能人もよく来るその店の中では、ずいぶん地味目のおっさんだった。銀座には「永久指名」という制度があり、いったんあるホステスのお客になると、その後との女の子が横に付いたとしても、売り上げは元々のホステスの成果となる。

よく、〇子ちゃんの客\〇美ちゃんの客なとと呼ぶのはそういう意味だ。島崎は「ママの客」だった。
まだ新入りの私が顔なじみになったのは、ヘルプとしてママの横にちょこちょこくっつき回っていたせいだ。

「この子、亜矢ちゃんって言うのよ、面倒見てあげてねー」

「へえ、長野出身か。22才?若く見えるな」

「はい、よろしくお願いします」

「まあ隣に座りな」

「はい、失礼します」

この不景気にもかかわらず高い金を落としてくれるお客様は、神様のようなもの。しかもママの客とあっては、ニコニコと機嫌を取るしかない。私にとって島崎は、他の誰よりも大事に扱わなければならない人間だった。そんなある日、

「来月、俺の誕生パーティがあるからおいでよ」

「あ、そうなんですか」

そんな会に参加する暇があれば、ゆっくり部屋で寝ていたい。ここは失礼のないよう、適当にあいづちを打ってお茶を濁しておくか。ところが隣に座ったママが声を張り上げる。「いいじゃなーい亜矢ちゃん、行ってらっしゃいよー」
お店の絶対権力者にこういわれて、誰が断れるだろう。あーあ、いい歳こいたオッサンが誕生パーティーってか。ムサ苦しい男か集まり、そもそも、40の大人が誕生日を祝ってる場合か?

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てっきり自宅に呼ばれるものと思っていたのに、なんと誕生バーティは神奈川県の某温泉旅館を貸し切って行われるという。なんでまたそんなとこでと嘆きながら、私は電車とタクシーを乗り継いで山奥の和風旅館へ向かった

しかも到着してびっくり、怖そうな顔の男たちが大勢でお迎えに出てくるではないか。「ご苦労様です、ネエさん」

「は、はい」

「ネエさん、こちらです」

「・・…」

膳の並んだ大広間で、私は島崎と並んで上座に着席した。両わきに50人ほどズラッと並ぶ怖そうな人たち。普通の誕生パーティじゃないことはすぐにわかる。じゃあ何だ?社員旅行?

コンパニオンも混ざっての宴会は賑やかに続く。女客は私だけ、全然おもしろくない。「ねえ島崎さん、なんで私がネエさんなんですか?」

「そりゃ、みんな亜矢の名前を知らないからだよ」

「そっかあ。でもあの人たちより私のほうが若いんですけとね」

のんきな会話で時は過ぎ、そろそろいいかと退席しようとした矢先、島崎がケロッと言った。

「もう送っていけないよ」「えーー」「酒も入ってるしさ。今日は泊まっていけよ」

この夜に山奥の旅館からー人で帰るわけにもいかず、ダダをこねてママの大事なお客さんを怒らせるのもヤバイ。自然、その日は島崎と一緒に寝ることになった。こりゃ、まんまとダマされたか。

不思議なバーティの内実は、寝床に入ってようやく明らかになった。彼の背中に歌舞伎役者のイレズミが彫ってあるのだ。とう見たってヤクザじゃん。しかもアソコがボコボコと膨れ上がっていては、何の疑いようもない。

「あの、これって」「なんだ知らないのか、真珠だよ真珠」

うっ、これが噂の真珠かーヤクザってマジで入れてんだ。2、3…その数10個。こんなの気持ちいいの?その晩、布団の中で私は、彼が上野の暴力団「A組」の組長だということを知らされた。ちなみに真珠チンチンは痛いだけだった。
なんでも買ってくれるしお出かけは運転手つき

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この業界、客とホステスが寝るぐらい珍しくもなんともない。実際、私もそれまでに2人の客に体を許した経験があった。ただそれは、お得意様に嫌われてはいけない、同伴出勤の相手を確保しなければ、カッコイイからいいかな、といった色んな要因があってのこと。

向こうは遊び、こちらは営業の一環、それでうまく治まるなら万事オッケーというわけだ。ところがこの組長、ただの遊びじゃなかった。奥さんのいない彼は、私と真剣に付き合いたいと言うのだ。

20近くも年齢か上で、職業はヤクザ。普通に考えりゃ、ご勘弁願いたいところではある。ママの客を寝取っただなんて噂が立つのも困る。しかし彼の強引さに、結局私は負けてしまう。ママも公認してくれたし、一人暮らしもそろそろ寂しくなっていた。後ろ盾、というほとではないにしろ、頼れる彼氏がほしい時期だった。

ほどなくして、彼が住む上野の4LDKマンションで同棲生活が始まった。組長との生活といっても、特別変わったことがあるわけじゃない。ー日のサイクルもいたって規則的だ。過去に懲役の長かった彼は(なにやら人を撃ったことがあるらしい)毎朝8時に目が覚める癖があり、朝食を作ってかり私を起こす。

午後になって事務所に出かけると、私はゴ口、コロ昼寝をして、タ方かりお店に出勤。深夜に帰宅し、セックスしたりしなかったりの後で就寝、という毎日だ。彼が事務所で何をしているのかはわかりない組員10人ほとの小さな組らしいのだか(誕生会にいたのは関係者)、いわゆるシノギというやつが何なのかも教えてはくれなかった。

ただ、さすがに一国一城の主だけあってお金はたんまり持っていた。2人で買い物に出かけるときは運転手付きのベンツが送り迎えし、ねだってもいないのに高価な時計や洋服を買ってくれる。

「イタリアに連れて行ってやる」と、いきなりビジネスクラスで飛び立ったこともあった。面倒なのは、嫉妬心の強さだった。同伴出勤やアフターは駄目、いっそのことお店を辞めてくれとまでグチグチとこぼす。

「彼女が水商売するのはイヤなんだよ」「でも他に仕事ないもん」「お金は渡すからいいだろ」「嫌よ、それじゃ愛人になっちゃうじゃない」

このとき彼のいいなりになっていれば、あんな事件は起きなかったのだろうけど、もちろんそんなことに気つくはずもない。
もう1人の男は渋谷「B会」の若頭
後の悲劇を生む主人公、井口(仮名)との出会いも、同じく銀座の店だった。ママの客である渋谷の暴力団「B会」会長の連れで、彼自身は若頭を務めているらしい。いつもラフな服装で、年齢は35才。見た目はいかにも貧乏臭く、実際あまりお金は持っていないようだった。要は会長の金で遊んでいるようなものだ。その井口が突然こんなことを叫んだのは、島崎の言いつけを破りアフターのカラオケに付き合っていたときのことだ。

「亜矢、俺と付き合えー」「うん、いいよ」

どうせ酔っぱらいの戯言と、軽く受け流したのがマズかった。彼はこの返答を真に受けてしまう。

「よし、じゃあ今日からお前は俺の女だ」「・・…」

私は強引な誘いにノーと言えないタチなのかも知れない。どうせ遊びだろうとタカをくくっていたというのもあった。一度関係を持ったぐらいでうきまとわれることはないだろうと。ところが井ロはマジだった。寝たらボイではなく、文字どおり「俺の女」として接してきたのだ。

しかも私は私で、井口の強引で甘えん坊で、そして貧乏なところに、母性本能をくすぐられてしまう。真珠が入ってないのも普通っぽくて良かったし。

「亜矢、お前のことは俺が面倒見てやっから」「うん、ありがとう」

肩に彫られた虎のイレズミを見ながら、私はうなずいた。それがどれだけ危険なことなのかも深く考えずに。組長と若頭の2股が始まった。フレンドリーなA組と防弾チョッキ着用のB会。元々私は器用なほうではなく、それまでにも2股なとかけたことはなかった。まして相手が2人共ヤクザだなんて、いったいどう対処していいの。

まずいちばんの問題は、A組・島崎との同棲をB会・井ロにどう隠し続けるかだ。不可能のようにも思えるこの難題、とりあえず「男子禁制の寮だから」という女子大生のような理由で入室を拒み、切り抜けることにした。危なすぎるが、他に案が浮かばない。
次に時間のやりくり。幸い、井口は私をモノにしてかりも、自腹じゃないせいか足繁く店に2通ってくれたので、アフターを利用して体を重ねるのがベストだろう。島崎とは基本的にこれまでとおり行く。ママの協力も不可欠だ。

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島崎、井口両方との関係を知っているママには、どちらかと休日に遊びたいときは

「一緒に買い物したいのよ」と片方を説得し、外泊したいときは「お店の子たちで温泉に行くのよ」と口車を合わせてもらうことにした。

彼らにすれは「ママが言うなら」と折れるしかない。店で2人がはちあう可能性については深く考えなくていいだろう。すでに島崎は来なくなっていたし、仮に店で井ロを接客するシーンを目撃したとしても、見た目には単なる客とホステス、付き合いがバレる心配はない。逆も然り、井口の目前で島崎がなれなれしくしてきたところで、仕事柄、不自然ではない。

2股生活はゆっくりとスタートした。ヤクザ上層部の男という点は同じでも、2人は全然似てなかった。お金持ちで欲しいものは何でも買ってくれる島崎と、デニースやラーメン屋にも平気で連れていく貧乏な井口

運転手付きベンツの島崎に対し、井口は中古クラウン。組の雰囲気もまったく違った。組員も含めてフレンドリーに接してくれるA組に比べ、よく抗争に巻き込まれるらしいB会は、デートのときに「お前も防弾チョッキを着ろ」と真面目に説かれるほど、普段からピリピリしていた。

で、いったい私はどちらのことが好きだったのか。これはちょっと難しい。打算で選ぶなら断然島崎を取りたいところだ。しかし、井口にはヤンチャな男の子のような可愛いらしさがある。しかも2人共いつも真面目に「愛している」と言ってくれるのだ。真珠に突かれた翌日、虎に抱かれ、その夜、歌舞伎役者に組みしだかれる。もしバレたら、抗争でも始まるんじゃないかと内心あせりまくりの毎日だった。

おいこら、人の女にふざけたまねすんじゃねえー
よくバレなかったな、とは自分でも感心する。小さな組とはいえ彼らはヤクザ、手下でも使って私の素行を洗えばすぐにでも二股は発覚したはずなのに、なぜかそんな事態にはならなかった。

周りに色んな男性がいてもおかしくないホステスという仕事が、2人を欺くカムフラージュになったのだろう。とはいえ、ヤバいことがなかったわけじゃない。いつまでたっても部屋に入れてもらえない井口は、「男が借りた部屋に」緒に住んでるんじゃないだろな」と、ズバリ図星な疑いをかけてきたりもした。

そんなことないわよとママが言うだけで、それ以上は追及してこなかったが、疑惑ゼ口でないことは確かだった。島崎も、いつまでも同伴やアフターをやめない私に監視の目を光らせていた。

ある日の閉店後、「送って行く」と言って聞かない井口に、マンションの下まで送らせてしまったことがあった。部屋にさえ入れなければ大丈夫だと踏んだのだ。帰宅後、島崎は言った。

「なんだ、あんな若い男に送ってもらって」

なんと彼は、いつも私の帰りをベランダから双眼鏡で覗いていたのだ。

「ああ、お客さん。送る送るってしつこくて」

「あんなのが飲みに来てんの。」

中古のクラウンに、安物のトレーナー。まさかそんな男がヤクザだとは、ましてや私が心を許しているとは思いもよらなかったようだ。ホステスは金に弱いと思い込んでいるフシが彼にはあった。もっとも危なかったのは、冬のある日、実家に遊びに戻ると嘘をついて出かけた温泉地で、井口にキスマークをつけられたときだ。

「つけていいか?」「ダメだよ、ダメダメ」「なんで」「え…だって・・」

なんでと間われると困ってしまう。他の誰かに見せるわけでもないのだから、あんまり強く拒むのも変な話だ。ダメな理由が見つかりないまま、私は白い胸を強く吸われた。胸に赤いキスマークをつけて、同棲相手にバレないわけかない。
マンションに戻ったその日に島崎は怒鳴り散らした。

「なんだ、これ」「友達とふざけてつねられたの。服の上からだよ」

苦肉の言い訳も、嫉妬深い組長に通用するわけがない。

「今すぐそいつに電話しろ」「え・・」「いいからここで電話しろ」

やっばりヤクザ、こういうときはむちゃ怖い。うやむやにするんじゃなく、きっちり力タをつけようとする。私はとっさに田舎の友人に電話し、一人芝居するしかなかった。「あ、私だけど、あんたこの前私の胸つねったじゃない、服の上から。あれで彼氏が怒ってんのよ。今かり代わるから説明してよ」

友人の勘が良くて助かった。彼は受話器の向こうで必死に謝ってくれたようだ。

「おう、お前なあ、人の女にふざけた真似すんじゃねーぞ。おい、わかったか、こら」延々30分も続いた。もしも他に男がいて、頻繁にセックスしてるなんてことがバレたら。
「あのおっさん撃ったからお前も一緒に逃げろ」
4カ月ほど続いた危ない綱渡り。そのバランスは、ママが井口の親分、B会会長と本格的に付き合い出したことをきっかけに崩れ始めた。もう店に金を落とさない島崎とは手を切って、井口ー本に絞りなさいと諭されたのだ。

ママの言い分ごもっとも。私も束縛のきつさにうんざりしていたところだった。ほどなく上野のマンションを飛び出し、会長の借りてくれた新しい部屋に住むことにした。店はしばらく休み、島崎やその子分からしつこくかかってくる電話も無視。これで平穏な生活が始まるはずだった。

しかし一緒にいる時間が長くなると、井口も厄介なほとのヤキモチを妬いてきた。携帯の着信を調べたがり、カバンの中身も覗き見る。プライバシーも何もあったもんじゃない。そしてついにある夜、私の財布の中から、島崎の名前が書かれたクリーニング屋の古い伝票を発見してしまう。
「誰だこれ」「え、お客さんよ」「なんでそんな伝票持ってんだ?」

「…頼まれたから」

うまくゴマかしたつもりだった。しかし、このー枚の紙キレは一大転機を巻き起こす。その春の夜遅く電話が鳴ったとき、私は前日ゴルフに出かけた井ロの帰りを待っているところだった。深夜の連絡に何事かと思えば、彼はあわてた口調で言う。

「撃ったから逃げてる」「へ?」

「あのおっさん撃ったからよ。とにかく今から迎えに行く」

瞬時にして私は、彼が島崎を撃ったのだと悟った。気に食わなければカタをつける。井口とはそういう男なのだ。

「お前も一緒に逃げろ」迎えの車で聞いた話は、予期したとおりの内容だった。銀座界隈で調査したところ、伝票に書かれていた名前は上野の小さなヤクザ組長のもので、私と同棲していたこともわかった。頭に来たから組員3人と一緒に襲撃したー。
「ああ、でも殺してはいねーよ。まったくあの豆ド口」

時期的にはあちらとの付き合いが先だったのだからド口は井口の方なのだが、そんなことは口が裂けても言えない。おとなしく従っておこう。この日から私は、指名手配のかかった4人と一緒に、埼玉県某所の一軒家で2カ月間に及ぶ生活を送ることになった。

女絡みの個人的なトラブルを組全体でカバーするというのも大けさなように思えたか、やってしまったものは隠すより他ないのだろう。この間、私は井口の女として共同生活をし、彼も過去の2股を責めることなく接してきた。

しかし、人を撃った男に、自分の過去の恋人を撃った男に、愛情を注ぐことはもうできなくなっていた。