出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いや口説きに体当たりで挑戦したブログです。

いくつになっても恋はしたい・じいさんばあさんの見合いビジネス奮闘記

元の会社の上司、山田さんが声をかけてきた。

「うちでルート配送の人間に空きが出たんだ。バイトだけど、やらないか。そのうち、正社員にしてもらえるかもしれないぞ」

そのとき、すでに山田さんは親戚のツテで、車椅子なとの介護用品を卸す会社に再就職していた。

「要するに、高齢者や身障者に向けた生活用品を扱ってるわけだ。食品会社なんかより将来性はずっとあるぞ」

山田さんの力説は、いまひとつピンとこなかったが、朝9時ー午後5時の勤務で日給8千円なら悪くない。賛沢をいわなければオレー人、十分に暮らせるだろう。他に選択肢があるわけじゃなし素直に「お願いします」とアタマを下けた。まさか、これがビッグピジネスに結びつくとは思いもせずに…。
仕事は、ワンボックス力ーで首都圏の老人保険施設に商品を運ぶ肉体労働だった。車椅子や介護用のベットは思った以上に重く、運動不足の体には正直キツイ。が、荷物の積み卸しが終われば任務完了。一緒に回る営業の人間が施設関係者と商談を進めている間は自由時間だ。

「動ける人はいいねえ」仕事を初めてー週間目、ー人東京郊外の施設玄関でタバコを吸っていたところ、車椅子のおじいちゃんに話しかけられた。彼、宮本さん(仮名)は50代半ばの働き盛りに交通事故で下半身不随に。娘夫婦と同居しているが、奥さんを亡くしてかりはボランティアに付き添われ、平日はこの老人保健センターで過ごしているのだという。

「外に出るのは億劫だし、ここで同じような身の上の仲間とおしゃべりするのが楽しみなんだよ」

宮本さんの話では、ここ数年、老人を対象にした施設か増え続けているらしい。契約金を取って完全看護をうたう特別養護老人ホームから、昼間だけ一般に開放してる所まで形態は様々だが、そうした施設に要介護高齢者がひしめきあっているそうだ。

「在宅介護だなんだっていっても共働きの家庭がほとんどだから、デイサービス(在宅介護者が日帰りで利用できる介護サービス)をやってるとこは満杯なんだよ」

宮本さんと知り合ったのをきっかけに、行く先々の施設で積極的に話を聞くようになった。周りが年輩者ばかりなので、年若いボクをみんな歓迎してくれる。

「荒井さん、お願いがあるんだけと聞いてくれるかな・・」

ある日のこと。ボクの趣味が写真だと知った宮本さんから、自分の写真を撮ってくれないかと頼まれた。口ぶりかりして、葬式の遺影に使いたいらしい。縁起でもないと思ったが、宮本さんの眼差しは真剣だ。仕方なく、自慢の一眼レフを持ち込み宮本さんを撮る。モノはついでと、他のおばあちゃんたちに力メラを向けると、まるで女子高生のような騒ぎっぷりだ。

「写真なんて何年ぶりかしら。せっかく撮ってもらうなら化粧でもしとけばよかった」後日、できあがった写真を配るボクに、彼らは照れくさそうに笑いながら山のようなお菓子を差し出した。
「わしの一生のお願いだ。このばあさんを紹介してくれ」

「荒井さん、この人は・・」
ボクが老人施設で撮ったアルバムをニコニコ見ていた宮本さんの手が、ある写真で止まった。

「ああ、北山さん(仮名)ていう隣町の施設に通ってる人ですよ」

「北山ナ二?齢は?結婚しているのかな。キレイな人だね」

いつになく真剣な表情を浮かべる宮本きん。そして「わしの一生のお願いだ・・」

何を言い出すかと思えば、その車椅子に乗ったおばあちゃんを紹介してくれという。「死んだ女房になんとなく似ててな。この人とつき合えないもんだろうか」

惚れた腫れたの男女関係などとっくに卒業したかに思える齢なのに、人間、いくつになってもトキめきたいらしい。

「わかりました。機会があったら話してみますよ」

「そんなのん気なこと言わんでさ。こっちは老い先みじかいんだから、すぐに頼むよ」宮本さんの粘り腰に負け、その足で北山さんが通ってる施設に出向く。運かいいことに、彼女は来所していた。

「この前は写真とらせてもらってありがとうざいました。実はね、あの写真を見て、おばあちゃんを好きになっちゃった人がいるんですよ。北山さんて、結婚されてましたっけ?」

「まあ、荒井さんたらいやですよ。年寄りをからかっなんて。まったく悪い人だね」

幸い(?)15年前に連れ合いを亡くしていることはわかったが、宮本さんが会いたがっていると言っても、なかなか信じてくれない。何事かと寄ってきたボランティアに事情を説明して2人がかりで説得、やっとのことで了解を得ることに成功したのだった。
「こちらが宮本忠さんで、こちらが北山さんです」

ー週間後の週末、ボクは車椅子も利用できるファミレスで2人を引き合わせた。宮本さんの気合の入れようは凄まじく、いつもボサボサの白髪はきれいにセットされ、ズボンに折り目の付いたスーツまで着込んでいる。

北山さんも嫌がっていた割にはヘアメイクを整え、首元にはおしゃれなスカーフを巻いていた。

「いやあ、わしのワガママを聞いていただいて、すみません」

「いえいえ、こちらこそ。あんまりうれしくて年甲斐もなくこんなカッコしちゃいまして」

「ところで、ご趣味は?」

最初のうちは見てるこちらまで緊張するほどコチコチの2人だったが、趣味の俳句で意気投合。タ暮れどきまで会話は弾んだ。

「思ったとおりの人だ」宮本さんは、北山さんを気に入り、また会いたいとボクをせっつく。いい大人なんだから自分で段取りしろよ、と言いたいところだが、ハンディキャップを負ってる自分に自信が持てないりしい。乗りかかった船とばかりに、野外のレストランをリザーブ、2度目のデートをセッティングしてあげると、宮本さん、気を効かせたボランティアが席をはずした隙に、思う存分、気持ちを伝えたらしい。

じいさん、やるときはやる。北山さんも同じ気持ちだったのか、その後は自分たちでデートを重ねて互いの家を行き来する家族ぐるみの交際に発展。やがて宮本さんは施設に顔を見せなくなった。

「荒井さん、ずるいな。宮本さんばっかり。私にも誰かいない?」

どこかりともなくウワサを聞きつけた年配の身障者から、紹介希望の申し出が殺到したのは、それかり間もなくのことだ。

「ホント、参っちゃいましたよ」

ひさしぶりに会った山田さんにそのことを話すと、ニコニコ笑ってた彼の目がギラリと光った。

「いい金儲けになるぜ」いわく、年配身障者はヒマな上、身の回りの世話はボランティアがやるため年金収入の使い道がない。おまけに配偶者を亡くしてる人が多いから、結婚紹介所を始めれば絶対儲かるに違いない。

「やっぱ人間、最後に残るのは食欲と性欲だかりさ」

年寄りを相手に商売するなんて考えてもみなかったが、山田さんには説得力かある。〈一攫千金のチャンスかも。このままバイトやっててもタ力がしれてるしな〉う決心したボクが会社を辞めると、驚いたことに山田さんも一緒に退職してしまった。

「アイデアを出したのはオレだし、2人でやろうぜ。この仕事、もしかしたら化けるぞ」

こうしてボクらは、おそらく前例がない要介護者限定お見合いビジネスを始めることになったのだ。
入会金2万、見合い料結婚したら10万の成婚

まずは、あちこちの結婚紹介所からかき集めたパンフを参考に、システムを考える。とりあえず絶対にほしいのが、男女別のプロフィール付きアルバムだ。いくら年寄りだって好みのタイプはあるだろうし、互いにどんな障害があるかわからない状態では話のしようもない。

アルバムができたら、それを持って介護老人施設やボランティアが主催する身障者の集いを回り、会員を募る。軌道に乗れば三行広告なとで呼びかけてもいいが、最初は手堅く顔馴染みの年寄りを口説くとしよう。大抵の施設は顔パスで入れるから、何気に世間話をしながら身上調査をして「誰かいい人いないかな」なんてセリフが飛び出してきたところで話を切り出せばいい。

入会金は2万で、見合いのセッティング料は3万。もちろん前払いでいただき、キャンセルしても返金はなし。結婚まで行ったら、成婚料として10万円もらう算段だ。

「山田さん、ちょっと高くないっすかね」

「バカ。オレたちはボランティアやろうってんじゃねえんだ、これぐらいもらわないと割に合わないだろ。様子を見て、ムリなら後で値段を下けりゃいいんだからさ」
まあ、100万は軽くふんだくられるョソの結婚紹介所に比べれば良心的かもな。ただし、いくら安くても誓約書や領収書の類は発行禁止だ。施設に勤めてる人たちってのはお役所的だから、老人相手に金儲けをしてるのがバレれば出入り禁止になるのは間違いなし。へタな証拠は残さないに限る。

「それと、誰を勧誘してもいいけど言葉が満足に話せない人だけは連れてくんなよ。後で家族から無理やり金を取られたなんて訴えられたらヤバイからな」

さすが一般企業の部長職を経験した山田さんは細かいことにまでアタマが回る。いつの間にかボクか実行部隊で山田さんは事務処理とフォ口ーに回るという役割分担ができていた。
「わたしなんか相手にしてくれるかしら?」
さっそく、ボクは古巣の老人施設に潜り込み、会員候補を物色した。が、デイサービスは好きな日、好きな時間に利用できるので、いつも同じ人がいるとは限らず、なかなか顔見知りが現れない。出直そう、と帰りかけたそのとき、集会所の隅で日向ぼっこをしているおばあちゃんか目に入った。

心臓に障害を持ち、ペースメーカーを付けての生活を余儀なくれている米谷さん(仮名)だ。

「どうしたんですか、浮かない顔をして」

「あー、荒井さんだ。ひさしぶりじゃない。どうしてたの」

とりあえず、互いの近況を報告。といっても、すでに米谷さんの情報はアタマに入ってる。確か、旦那は数年前に病死して、いまは年金でー人暮らしのはずだ。考えてみれば、これほど会員の条件を兼ね備えてる女性もいない。73才とはいっても10は若く見える。ボクは彼女に、思い切ってお見合いの件を切り出した。

「ほらボク、仕事柄いろんなセンターへ行くでしょ。でね、仲人をやってくれって頼まれてるのよ。米谷さん、お見合いだけでもしてみる気はない?」

「アハハ。からかわないでよ、いまさらこんなおばあちゃんを」最初は本気にしない米谷さんだったが、口説くうちに「いい人がいるなら、お願いしてみようかしら」とその気になった。

「でも、私なんか相手にしてくれる人、いるかしら?」「大丈夫。任せてよ」

その場で申込書に必要事項を記入してもらい、アルバム用の顔写真を撮る。

「でもあたし、お金ないわよ」料金の話をしようとしたとき、釘を刺された。確かにこちらかり強引に誘って、いまさら金を出せとは言いにくい。

「わかりました。米谷さんは会員第ー号だから、特別タダにしちゃいます。その代わり、みんなに宣伝してくださいね」先の宮本さんの一件で、クチコミの凄まじさは経験済みだ。最初の見合いを成功させれば宣伝などせずとも入会者が殺到するはず。今回はそのための布石と考えよう。
会った途端に一目惚れ。4カ月後にゴールインー

米谷さんと家が近く、年齢も釣り合う男性。彼女は介護の必要もないので、多少の障害は構わない。
誰かいないかな…ボクと山田さんは、各施設で見かけたおじいちゃん連中をー人ー人思い浮かべ相手を探した。

「小宮さんはどうだろ」

「いや、あの人はいま寝たきりだかりキツイよ」

「田辺さんは…、あ、奥さんがいたっけ」

「じゃ、安田のおじいちゃんは、リハビリ中の」

「あ、いいね、ピッタリだよ」原因不明の病気で倒れ、右半身がマヒしてるという安田さんは、米谷さんの2つ上。長男夫婦と同居し、毎日、ボランティアと一緒にリハピリに励んでいる。すぐに医療施設の整った××園に出向き、休憩中の安田さんにアプローチをかけた。

「おじいちゃん、元気だった?いつも頑張ってるね。だから今日はご褒美あげるよ」

米谷さんのアルバムを見せながら事情を話す。

「そんなことしちゃ、死んだばあさんに申し訳ない」

奥さんは10年前にカンで亡くなったというのに義理立てする安田さん。ボクが言葉に詰まり黙って妊しまうと、山田さんがしんみりした口調で続けた。

「いやあ、そう思われてる天国のおばちゃんは幸せだよ。でもね、そろそろ自分か幸せになってもバチは当らないと思うけどなあ」

しばらく考え込んでいた安田さんは、ゆっくり顔をあけると「お願いするよ」と言う。吹っ切れたように、本当は宮本さんの件を小耳に挟んでから再婚したい気持ちもあったと照れ臭そうに告白した。そうと決まれば善は急け。次の週末に安田さんの家で見合いを実施することにした。

「子も嫁も再婚を薦めるんですが、僕はこんな体だからどうも自信がなくて・・」

「そんなことないです。直にお顔を拝見して、あまりにいい男なんでビックリしましたよ」

「からかわんでください。あなたこそ・・」

驚いたことに、米谷さんと安田さんは互いに一目惚れ、セッティングしたこちらが驚くほとの熱々ムートで話し込んでいる。

「母が亡くなってかり、あんなに楽しそうなオヤジを見るのは初めてです。本当にありがとうこざいました」

一緒に事の成り行きを見守っていた安田さんの息子が、ボクたちに両手をついて挨拶しながら入会金とお見合い代、合わせて5万円を差し出す。本当は2回目、3回目もセッティング料をいただくつもりだったが、これだけ素直に感謝されると口に出しづらい。結局、2人はそのままつきあいを続け、なんと4カ月後にゴールイン。内輪で祝う席にボクたちも呼ばれ、息子から30万ほどの成婚料をいただいた。
「あなたは報酬なしでシモの世話ができますか」
予想どおり、最初の見合いが成功すると勧誘などしなくともバタバタ入会者が現れた。週にー度見合いができれば万々歳と踏んでいたのに、週2を週3回にしても追いつかない盛況振り。ボクは毎日、会員アルバムを片手に施設を走り回った。見合いをブッキングすること自体はいたって簡単である。
「歳上だけど、女性の寿命は長いしお似合いですよ。こんな素敵な人があなたのことを気に入ってくれたなんて幸せだね」

ほとんどの人たちが障害をコンプレックスに感じており、好みや年齢が合わずとも、いくらでも言いくるめることができた。気を遣ったのは、会員同士が勝手に会わないようすることだ。ー回ごとにセッティング料を徴収するのだから、外で会われちゃ商売にならない。見合い中に電話番号や住所を交換しないか、ボクは細心の注意を払った。

「そういうことしちゃ駄目だって言ったでしょ。今日のお見合い中止だから」

事前に言い聞かせても規約を破る会員(100%おじいちゃん)には、その場で即刻退会の上、罰金を徴収。こちらにしてみれば、入会金と見合い料、さらに罰金も入り、かなりオイシイのだが、おじいちゃんにとっては一大事。なりふり構わず泣きついてきた。「申し訳ない。2度と規則は破りませんから、どうかお見合いさせてください」
彼らがほしいのは茶飲み友だちなどではなく、トキめく相手だ。普段は普通に暮らしていても、心の中には異性への関心や性欲が渦巻いているのだ。

「しょうがないですねえ。特別にもう1回だけセッティングしましょう。でもこれが最後ですよ」

アメとムチを使い分け、落ち込む老人に優しく微笑みかける。

「その代わり料金は割増になりますが、いいですね」

元々料金表など公表していなかったので、相手の懐具合を見て取れるだけ取る。3万の見合い料は4万にも5万にもなり、ある土地持ちのじいさんなどー回につき10万に上がった。それでも、見合いという生き甲斐を見つけた老人たちはためらわずに金を払う。

こつこつ貯め込んだ虎の子をいとも簡単に吐き出してしまうのだ。もちろん、会員の希望はできるだけ叶えてやった。見合い時間が3時間じゃ足らないと言えは、6時間15万の特別コースも設けたし、旅行に行きたいと言えば実費プラス特別料金を加算、希望に沿うようセッティングする。

中には「なんでそんなに金を取るの」と責める家族やボランティアもいたが、

「じゃあ、あなたは報酬もなしに旅行に連れて行ってシモの世話までできますか」と切り返せば大半は顔色を変えた。もっとも、ボクたちは会員を旅行らしい旅行に連れていったことなど一度もない。

「ついてからのお楽しみ」と、レンタカーの窓際に荷物を積んで外が見えないようにし、テキトーな川原や山奥に行って

「着きましたーほら、おじいちゃんもおばあちゃんもこ存じでしょ、ここが有名な××原ですよ」まったくヒドイもんであるが、文句を言う年寄りなどー人もいなかった。
じいさんが見合い中にプールでうんこを
クチコミで会員はどんどん増えて商売はいたって順調。しかし、2カ月もするとストレスが溜まり始めた。金は十分過ぎるほどあっても心が晴れない。原因はハッキリしている。
生寄りたちの世話が手に余るのだ。初対面のくせに「結婚したい」と言い出まンイサンや、挨拶もそこそこ「メシ食わせろ」と怒鳴るバアサン。ま、そんなのはテキトーに聞き流せば済む。シャレにならないのはシモの世話だ。特に強烈だったのは、自分の家でお見合いしたいと言ってきた北関東の大家邸に住む春山さん(仮名)である。

山田さんとボクとで、見合い相手のおばあちゃんを連れてジイサンの家に到着。と、春山さんか自慢のプールでひと泳ぎしたいといい出した。健常者2人が手を引いて、足の悪いじいさんと手の悪いばあさんを泳かせる。いかにも美しい光景だ。が、それも一瞬にして悪夢に変わる。春山さんが水中でうんこを漏らし、あたりに言葉では表せない異臭が漂いだしたのだ。なぜか勝ち誇ったような顔をしているジイサンと、事情を理解してないバアサンをプールから引き揚げシャワーを浴びせる。水を抜いたプールの後処理をする情けなさと言ったら・・

年配の身障者は神経が緩み、何かのハズミで失禁しても気つかない場合が少なくない。見合いの最中でも車椅子の移動中におしっこを漏らしたりするが、本人は悪いことをしたという意識がなくニコニコ。そんな顔を見るにつけ、なんでボクがこんなことせにゃならんのかと、ストレスが体に蓄えられていくのだった。
いくら金をもらっても割に合わない・・

半年後、ボクらのお見合いビジネスは軌道修正を行う。見合いの席で

「バイアグラを飲んで来た」「いつヤらせてくれる」

などと言い出すスケべじいさんが続出(バアサンも満更ではない様子)したのをきっかけに、

「5回で最後までイかせます」をうたい文句に、セックス有りコースを導入したのだ。4回目までは今までどおりにデートし、5回目にエッチをセッティングするというこの企画は大当たりで、3カ月先まで予約がビッシリ入る大盛況。が、いま思えばこれがまちがいの元だった。

特別な日に、めかし込んでくるじいさんばあさんの服を脱がせ、狭い浴室でシャワーを浴びさせるまではいい。が、本人たちはたいてい手足の自由が利かないため、希望の体位を聞いてボクらがベッドに横たわった2人をその形にしてやらなければならない。それでも正常位でやってくれればまだ楽なのに、久しぶりだからとシックスナイン、バック、松葉くずしなんてリクエストが続くと、もう大変。山田さんと2人がかりで体位を変え、口ーション片手にピストン運動をさせてやりながら、じいさんが「イッた」と自己申告するまで続けなければならない。端で見れば滑稽だろうが、じいさんとばあさんは必死だ。

「早く入れてくれ」「もっと右」「おっ、気持ちがいい」

「わ、私も。もっと動かして」「おう、もっと持ち上げろ」「うう。ああ」
「いいぞ…、いい。ああ」

初めて老人のセックスを目の当たりにした日は気持ちが悪くなり、その後3日間は食事が喉を通らなかった。〈いくら金をもらっても割に合わないんじゃないか〉と疑問か芽生え始めたのも、そのときだ。

★ピジネス開始から10カ月の時点で、会員は男性58人に女性40人。米谷さんを筆頭に、結婚したカップルも5組。会の純利益はー千万強に上った。このまま続ければ、より大きな儲けが見込めるはずだった。しかし、ボクたちは話し合いの結果、商売かり手を引く。理由は言うまでもない。じいさんやばあさんの世話にホトホト疲れたのである。老人が増え続ける日本では、彼らをターゲットにしたセックス産業が誕生するのは時間の問題。参入すれば、まずまずの商売にもなるだろう。しかし生半可な覚悟では決してやれない。このことだけは断言しておこう。