出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いや口説きに体当たりで挑戦したブログです。

S女性とM紳士のための特殊結婚相談所

怪しい高収入バイトで気になる広告を発見した。高級会員制SM交際レディ募集一日給2万5千円という値段からして、SMクラブであることは間違いない。が、広告には、リッチなM紳士を相手にする仕事で「風俗店ではありません」と明記されている。おまけに事務所に待機する必要もなく、都合のつく日時だけでOKらしい。風俗でなく、M男性を相手にする仕事なら、そうハードなものじゃなさそうだ。私はすぐに問い合わせの電話を入れ、翌日の面接アポをとりつけた。
何度か携帯で確認しながら行き着いた先は、池袋の東口交番からほど近いマンションの一室だった。表札のないドアに不安を掌えつつチャイムを押す。と、満面笑顔の男が顔を覗かせた。小柄なオジサンだ。
「島崎さんですか?よく来てくれましたね。私、藤村(仮名)と申します。どうぞよろしくお願いします」
ニコやかに私を招き入れるやいなや、オジサンがいきなり土下座を始めた。なんだ。もしかして、この人もM?こりゃ、とんでもないところに来ちゃったかな。軽い後悔を掌えたが、このまま逃げ出すわけにもいかない。とりあえず、オジサン(社長だった)に薦められるまま部屋の奥の丸テーブルに付く。
「さっそくですが、これに記入してください。身分証明書は持ってきていただけましたよね」
ちょっと待ってよ。まだ仕事の内容も聞いてないじゃん。
「あ、それ書いてもらいながら説明しますから。あのね、うちはSMクラブじゃないんで女性が相手を選べるし、できないことはしなくて結構ですから、やらない手はないんじゃないかな」
社長は何冊かのSM雑誌を取り出し、テーブルに広げた。見ると
「S女性とM紳士のための特殊結婚相談」
「S女とM男の談話室」の会員募集広告が。なるほど。女性は求人誌で、M男はこれらの広告で集めてるわけですか。
「うちに登録してる男性会員のみなさんは、素人のS女性と結婚したいって望んでるんですよね」
それならそうと最初に言ってくれなきゃ。だって私、結婚してるもん。
「そういうことでしたら残念ですが…」
帰ろうと腰を浮かせると、「ちょっと待ってください」と慌てるオジサン。
「他にも長期調教を望む愛人コースや1回きりの交際コース、それに話をするだけのバイトもありますから」引き止められ、私はもっ一度ソファに座った。
家事をやってもらって金になるかエプロン奴隷
「島崎さんみたいにSM経験はないけど、ちょっと興味があるって人が一番いいんですよ」
社長が必死に私を持ち上げる。なんでも、会員のM男性は既存のSMクラブのビジネスライクなプレイに飽き飽きしており、感情がともなったつきあいを望んでいるらしい。
対して登録女性は、10人が10人お金目的。素人もいるにはいるが、過半数が風俗店を渡り歩いているプロで、何も知らない私のようなド素人が喜ばれるのだとか。男性の入会金は10万円。結婚や愛人の契約をするにはさらに紹介手数料や成功報酬など、20-30万強を事務所に支払わなければならず、もちろん女王様に支払う毎月の調教代も別だ。
「だから日給2万5千円はウソじゃないですから」
気が付けば、社長の説得に乗せられ、やってもいいかと思ってる自分がいた。登録用紙に略歴を記入し、プレイ項目の横に、できるかどうか〇×を付けていく。ええと、縛りにローソク、院腸。この辺はSMの基本だとは思うけど、やっぱり恐い。スカトロも×だし、豚調教・犬調教・馬調教?わけわかんないから全部×。NGのタイプを書く欄には、毛深い人とガッチリ型、そしてハゲも嫌だと記人した。
「自分より年上の男性をいじめるなんて心苦しくてできないですよ。それに、長期の愛人コースもムリだし、Sっ気も特にないから、言葉責めとかフェチ系のソフトなものしかできないかな」
これだけ我がママな注文を出せば、向こうから断ってくると思ったのに、社長はニコニコしたまま。「だったらエプロン奴隷なんてどう?男性があなたの家に行くでしょ。そしてエプロン付けて掃除に洗濯、洗い物など家事一切をやるわけ。それで時給2500円。4時間単位で受け付けるから1万円にしかならないけど」
えー、お金を払ってまで家事をしたい男がいるわけ?まったくMの世界は奥が深いっていうか何ていうか。家事に追われる身には夢のような仕事だ。けど、家にはいつも誰かいるから、家族には何て言い訳しよう。M男さんに作業着でも着てもらって、ダスキンのサービス券が当たったっていえば怪しまれないかな。
「とりあえず今週末に、談話室の仕事やってもらえませんか」
談話室とは、S女とM男の出会いスポットで、気が合えば店外デートOK。男性向け広告では、素人のS女性が2千円を払ってやってくると書いてあったが、実際はすべての女性が時給1500円のアルバイトだ。つまり、連れ出し可能な女王様パブのサクラをやらないかというのである。いくら2万円もらえると言っても、いきなり客とプレイするなんて・・
ゴネる私に「素人が鉄則なんだからムリしてプレイなんかしなくていいんだよ」と社長。
ウンと言うまで帰してくれそうにない粘り腰に負け、「わかりました」と返事としてしまう。
その週の金曜、午後7に事務所に行くと、社長の他にママさんと呼ばれる森公美子並のガタイをした女王様がいた。
「待ってたよ、島崎さん」
2人がニコニコ笑いながら近づいてくる。
「指名のお客さんが来てるから、お見合いやろうよ」おいおい、そんな話、聞いてないよー。けど、ゴネたところで社長に説得されるのはわかってる。はいはい、やればいいんでしょ。奥の部屋へ入ると、白いクロスをかけキャンドルをともしたムード満点のテーブルに、41才だという大仁田厚似のガッチリした男性が待っていた。私の隣にママ、男性の横に社長。お互いが向かい合って座り、まさしくお見合いの雰囲気だ。
「こちらは××会社にお勤めの山本篤志さん(仮名)」
社長が男性の名剛を紹介した後、私の番になった。
「えー、こちらの島崎奈津美さんは、N大学を卒業なさり、現在はスーパーのパートをされ、××市に住んでいらっしゃいます」
えー、結婚してるってこと以外、全部本当のことじゃない。まったくストーカーって言葉を知らないのかな。私がこいつに付け狙われたらどうすんのよ。心の中で毒づきながらも、お見合いは着々と進行。
「結構、近いですね。会うのは△△周辺にしましょうか」と勝手なことを言い出したあたりで、ママが
「じゃあ、後はお若い方だけで。ホホホ」
とべタなセリフを吐きながら社長と別室に挙えた。M男をこんな間近に見るのも初めてなのに、何をしゃべればいいんだろう。
「道具はちゃんと持っているんですか」
「えっ、道具ってなんのことですか」
「道具といえばムチや縄に決まってるだろうがーまあいい。で、結婚したら週に何回いじめてくれるんだ」
まったく社長もいい加減だ。この人、本気で結婚をしたがってるじゃないですか。こうなりゃ本当のことを言うしかない。
「何か誤解があるようですが、私、結婚してますから」
「え」
驚いた様子で社長のところへすっ飛んで行った大仁田が戻って来たのは10分後だ。
「入籍できなくても付き合えるなら僕はかまわないから。月極めの希望金額はいくらかな。30?40?それとも1回きりの割り切りがいいわけ」
へー、そんなにもらえるのか。私、SMなんて経験ないんだけど、例えば、どういうプレイをお好みなんですかね。
「やっぱりロウソクだよ。それもSM用の低温ろうそくじゃモノ足りないから、普通の太いロウソクを使うに限る。亀甲縛りされて、線香でチリチリ焼いてもらうのも好きだな」
うわっ、もし火事になったらどうするんだろ。それでなくともヤケドさせちゃいそうだし。とてもじゃないけど私の出る幕じゃない。改めてお断りさせていただきます。しかし、大仁田は納得しない。それどころか、いきなり立ち上がったかと思うと、テーブルの上にあった直径Sセンチほどのキャンドルをつかみ、自分の左手にボトボトとロウを落とし始めた。
「大丈夫だって言ってるだろ。ホラ、よく見ろー」
げっ、ロウだけじゃなく炎を腕に押しつけてる。っわー、だからそんなことする人の相手はムリだって。固まる私を見て我に返ったのだろう、大仁田が
「どういう男性が好みのタイプなの」と、戦法を変えてきた。本当は違うけど、「キムタク」と答える。「じゃあオレじゃ無理か」火あぶりは平気でも、キムタクか反町の名を出してひるまない男はいない。しつこいヤツを退散させるにはこの手に限る。
後で聞いたところによると、あの大仁田似の山本さんは、私とお見合いするため入会金やら見合い料、ァルバム拝見料など合せて20万払ったそうだ。それで既婚者が出てきたんだから、キレてロウソク浴びるのも無理ないか。それにしてもあの社長、いくら金のためとはいえ罪なことをするもんだ。結婚してる私にお見合いさせたり、ハードプレイもガッチリ型もNGって登録用紙もまったく無視だもんな。その後、、談話室に早変わりした事務所で男性客と世間話をして過ごす。楽チンな仕事ではあったが、お金にならない。見合いは断ったからバイト代が出ず、談話室のバイト代よりタクシー代の方が高く付いたのだ。これじゃ、意味なさすぎだ。