出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いや口説きに体当たりで挑戦したブログです。

ニセ占い師になりきって出会いを求める

ブラブラ歩いていると、ある路上占いのオバハンの前に大量の女が並んでいた。あいかわらずアホばっかりだ。占いがインチキなことは、裏モノで何度も証明してきてやったのに。もうあきらめよう。女はアホなのだ。アホに何を言ってもわかりっこない…。
瞬間、ひらめいた。こうなりゃそのアホの特性を利用してやろうじゃないの。作戦はいたって単純だ。まずニセ占い師が路上に座り、やってきた女の子にこう告げる。
「おやおや、あなた、今日あたり運命的な出会いがありますね」
で、その直後、オレがナンパする。普段なら見向きもしてくれないだろうが、直前に占い師に予言されているだけに、女は「この人のことかしら?」と胸が騒ぐ。いかがでしょう。アホ女なんて、この程度で引っかかると思いませんか。
金曜夜7時。新宿駅西口。待ち合わせの相手は、ライター和田虫象だ。この薄汚なさ、ニセ占い師の大役にぴったりである。作務衣と袈裟に着替え、メガネをかけた虫象は、なかなかソレっぽく見える。テーブルとイスを並べ、虫象と客との会話が聞こえるよう、互いのケータイを通話状態にしたところで、では参ろう。
「じゃあオレ、あっちで見てるからよろしく」
「了解っす」
「男とかブスが来たら、適当にうっちゃってね」
「オッケーっす」
待つことしばし。一人の女が立ち止まった。

○いいですか?
●どうぞ。
○私、声優をしてるんですが、その仕事について観てもらえますか。
●あなた、今、おつき合いされてる方は?
○いないです。
●女性は、いい男性と巡りあうことで仕事やプライベートのバイオリズムも上向くんですが、あなたはこれから運命的な男性と巡りあいます。
○へえ。
●ガンに出てます。専門用語で顔に出るって意味なんですけどね。目の下の相を観ると、近々、運命的な出会いがあると出てます。それもかなり直近。今週中、いや、もしかしたら今日かもしれませんね。
○そうなんですか。
●声優の仕事にもつながる大切な出会いですので、チャンスを逃さないように。では頑張ってください。
○ありがとうございました。
虫象、上手い! 仕事の相談なのに、いつのまにか出会いを大切にしろとか言ってるし。あとはオレにまかせてくれ!彼女は駅の改札へ向かっている。駆け足で近づき、声をかける。
「ちょっとすみません」
「はい?」
「京王線のこの改札、東口に抜けられましたっけ?」
足止めさせるための適当な口実だ。
「ちょっとわからないんですが」
「抜けられるんなら、東口のほうに飲みに行こうと思ったんだけど」
「……」
「オネーさんは仕事帰りとか?」
「…はい」
声優ちゃんは無表情のままだ。さっきの占い師のことばを忘れたのかよ。
「ぼく一人で飲むのもアレなんで、オネーさん、よかったらご一緒しませんか」
「いやちょっと」
彼女は即答して、ホームのほうへ去っていった。虫象の近くに戻りターゲットを待っていると、今度は女の子2人組がやってきた。片方の子がイスに座る。
○(無料鑑定の文字を見て)本当に無料ですか?
●はいそうです。
○無料ならお願いしたいですけど。
●大きなカバン持ってますが、旅行か何かです?
○私は鹿児島なんですけど、この子は東京に住んでいて。
●何を観ましょう。
○じゃあ恋愛を。
●恋愛ですね。ちょっとお顔をよく見せてください。
○はい。
●ガンに出てますね。ガンというのは専門用語で、顔の相なんですけどね。私もいろんな人を見てきましたけど、こういう顔は珍しい。
○はあ…。
●あなた、おそらく近々、いや今日かもしれない。運命的な出会いがあると思いますよ。
○運命的ですか?
●そうです。
○その相手ってこれから出会う人なんですか?
●そうです。
○そうなんだ。でも私、最近いいなって思ってる人と会ったんですけど、その人がソレってことはないですか?
●ちょっと手を見せてくれます?
○はい。
●ほーほーほー。この線がここで交わってるということは、運命の出会いは、間違いなく今後のことです。
○そうなんですか。
●とにかく、今日の出会いは大切にしておいてソンはないですよ。
○わかりました。
好きな男がいるというのは手強いが、声をかけてみなきゃ始まらない。
「こんばんは」
「……」
「2人でこれから、飲みに行くと
かですか?」
「……」
「オススメの店とか教えますよ」
「いいんで」
「まあ教えさせてよ」
「いいんで」
「そう言わずに…」
「マジで半径2メートル以内に入らないでくれない?」
あちゃー。虫象の話、ぜんぜん聞いてないじゃん! 深夜0時過ぎ。駅前はあわただしく通り過ぎる人ばかりなので、歌舞伎町方面に占い場所を移動した。
そこにすぐやってきたのは、ふわふわスカートにもこもこカーディガンを着た、トイプードルみたいな女の子だ。
●何を観ましょうか。
○恋愛面を。今、いいなーと思う人がいて、その人と仲良くなりたいんですけど。
●その人と付き合いたいと?
○そうですね。
●ちょっと手相を見ましょう。
○お願いします。
●んー、その人とは仲良くはなれますが、恋人という流れにはなっていませんね。
○え、そうなんですか。
●近々、運命的な出会いが来そうです。
○ホントですか!
●お顔を見せてください。顔の相で観ると、出会いの時期がわかりやすくて。
○はあ…。
●ふーん、これは珍しい。まさに今日これから運命的な出会いがありますよ。今好きな方は運命の人ではないと思います。
○そうか。
●でも一つ注意してほしいんです。運命的な出会いというのは、第一印象はそんなによくないんです。
だから最初「ちょっと違うな」と思っても、実はそれが大切な人だったりしますので、その点を意識しておいてください。最後のフレーズは、二度の失敗を経た結果、編み出したものだ。プードルちゃんが歩き始めた。横断歩道で立ち止まったところに近づき、目が合ったところで切り出す。
「もしかして、おねーさんも終電がなくなっちゃった系?」
「…はい、まあ」
「ぼくもそうなんだよ。お互いおつかれさまですね」
「そうですね」
何かいい感じだ。
「よかったら、終電逃したモン同士で飲まない?」
「これから青山のクラブに行こうと思ってるんで…」
「まあそう言わずに、1杯だけ奢らせてよ。それからクラブに行けばいいじゃん」
「じゃあ飲んで行こうかな」
ほい来た!新宿2丁目のオカマバーに入り、カウンターに並んで座った。
「私、こういう店に来るのは初めてなんで新鮮です」
「けっこう面白いでしょ」
スタッフのオカマに「キャリーパミュパミュみたいでかわいいわね」と煽てられ、彼女は楽しそうに笑っている。
「オカマバー、一度行ってみたいと思ってたんですよ」
「普段はどういうところで遊んでるの」
「渋谷です。新宿にはほとんど来ないですけど、今日は来て良かったぁ」
おっと、おっと! なんですか、その興味深いセリフは。
「そう言えばさ、さっきボクと会った通りに占い師いたでしょ? あの人ってけっこう当たるらしいよ」
「私、観てもらいましたよ」
「どうだった?」
「へーそうなんだ!ってこと言われました」
ハッキリ言わないあたりが可愛らしい。運命うんぬんを、その、まさに運命の相手であるオレに向かっては、恥ずかしくて口にできないのだろう。店に入って1時間ほど経過したあたりで、彼女が時計をチラチラ見始めた。
「私、そろそろ青山に行くよ」
まだクラブなんかに未練があるのかよ。てっきり今日はオレとしっぽりすると思ってたのに。
「じゃあ、ぼくもそのクラブ行こうかな?」
「行く?いいよ」 
だよね。運命の相手をムゲにはできないよね。目当てのクラブには、奇抜ファッションの若い子たちが、いっぱい集まっていた。ドリンクコーナーに並んでいると、数人の男女が近寄ってくる。
「あっ、めぐみー」
「おつかれー」
彼女は親しげに彼らとハグをしている。仲間か。ほれ、そんな西洋かぶれの挨拶はもういいから、早くオレを紹介しなさいよ。ところが彼女は言う。
「ちょっと私、向こうの友達のところに行ってくるね」
その後、彼女はまったく戻って来る様子はなく、オレはダンスフロアで一人で揺れているしかなかった。翌日の夜8時。新宿の路上に再びスタンバイしたところ、最初にやってきたのは、ずんぐりむっくり体型のおデブちゃんだった。
●何について観ましょう?
○結婚とかは?
●ちょっと手を見せてください。
○はい。 
●女性の場合の手相は、左手がメイン、右手がサブで観るんですけどね。
○はい。
●あなたは感情線の流れから観て、基本的に積極的な方だと思います。でも恋愛のときは意外と臆病になってませんか?
○なってますね…。
●積極的になってほしいですね。
○はあ…。
●というのは、実は、あなたのお顔をぱっと見てすぐに気づいたんですけどね。近々、というかたぶん今日ですね。これから運命の出会いがありますね。
○ホントですか?
●はい、あります。
○そうなんですか。
●大切な出会いです。頑張って積極的になってください。
鑑定が終わり、彼女が立ち上がった。
小走りで近寄り、横に並んで歩く。なるほど、虫象が適当にあしらわなかっただけあって、顔そのものはわりとカワイイ。
「そのパーカーってシャレてますよね」
「…はい」
「ぼくもそういうヤツ持ってるんですよ」
「パーカー好きなんですか?」
「そうですね。キミも?」
「はい」
「今日は仕事帰りとかですか?」
「いや、買い物とか」
会話は普通につながった。意識して積極的になっているのかもしれない。
「よかったら、パーカー好き同士ってことでメシでも食いますか」
「あっ、いいですよ」
ピザ屋に入り、ビールで乾杯。彼女は「後藤(仮名)です」と名乗り、意外なほどしゃべりまくった。バナナの皮を1秒で剥けるとか、いちごのヘタを1秒で3個取れるとか、反応のしようがない話題ではあるが。
ピザをむしゃむしゃ、ビールをぐびぐびしながら2時間以上も喋ったところで、彼女が
「そろそろ帰りますね」
「え、じゃあメアド交換とかしとこうよ」
「ぜひぜひ」
夜、彼女にメールを送ると、こんな返事が返ってきた。
〝今日はごちそうさまでした。ぜひまた遊びにいきましょう。仙頭さんのご都合がいいときに誘ってください〞
後藤さんと再開したのは、なんと翌日のことだ。深夜のメールで、お互い『早く会いたいね』と盛り上がったためだ。
デートの目的地、サンシャイン水族館へ向かう途中、彼女がたずねてきた。
「仙頭さんってカノジョとかいないんですか」
 この質問をしてくる女は、
1 気がある
2 気がある風を匂わせている
3 話題に困っただけ
に分類されるが、今日にかぎっては1番のような気がしてならない。きっとそうだ。
「うん、いないんだよ。後藤さんは?」
「いれば来ませんよ」
わあ、なんか始まりそうかも。太っちょだけどカノジョにしちゃおうかな。水族館やショッピングモールで談笑し、居酒屋へ。そこで彼女が不意に言った。
「仙頭さん、占いって信じます?」「うん、信じるね。信じたほうが幸せになれると思うから」
「へえ、男の人で珍しいですね」
「後藤さんは?」
「私も信じるほうですね。昨日も…」
おっと、昨日と来た。虫象のデタラメ占いを頭の中で反すうしている。運命の話をするの? それがオレだって話をするの?
「やっぱりいいです」恥ずかしいんだ。太ってても女は女だな。
その夜のホテル行きはかなわなかったが、プリクラでほっぺたキスまではもらっておいた。もはや2人は恋人同士といっていいだろう。さあ、いよいよ念願の結婚も間近なのでしょうか。新宿の母にでも占ってもらいに行こっと。