出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いや口説きに体当たりで挑戦したブログです。

ぼったくり条例の網をスリ抜ける大阪キャッチバーの新手法

大阪の繁華街でカラオケバーを経営する知人、山口さん(47才)からバイトの話を持ちかけられた。
「最近、店の売り上げがピンチやから、ちょいとテコ入れしようと思うてんねん。ほん
で、ユキちゃんにも手伝ってもらいたいねんけど」
キャバクラを辞めてそろそろ次の働き口を探そうと考えていた折、そういう誘いは大
歓迎だ。ただし、それがまっとうなお仕事だったらの話だけど。
警戒するのも当然だ。彼は今でこそ真っ当な商売人だが、かつてキャッチバーを経営し、荒稼ぎしていた過去があるのだから。キャッチバーとは、ぼったくりバーの一種だ。街中で若い女がカモとなる男を逆ナンし、素知らぬ風をよそおって店へ誘導。そこでさんざん飲み食いさせて、最後にトンでもない金額を請求するという手口だ。
「もしかして、またキャッチバーでもやんの」
「ぼったくり条例があるから、いまはそんなことでけへんよ。理屈のうえではキャッチバーと似てるけど、ぼったくりはやらへんし、金をふんだくった相手も絶対、警察に駆け込まんシノギを考えたんや」
…意味がわからない。いったい、どういうこと?
山口さんに聞かされたアイディアは次のようなものだった。
まず、キャッチ役をつとめる私が、路上で適当な男に声をかけ(あるいはわざとナンパされ)、彼の店に連れ込むところまでは従来の手口と同じ。違うのは、酒を飲んだ後で、私のアパートに来るよう男を誘い、かつ、こんなお願いをする点だ。
「今日、車で来てんねんけど、私もうベロベロやから、代わりに運転してくれへん?」
当然、ターゲットは飲酒運転を嫌がるだろうけど、アルコールで気が大きくなっていることに加え、アパートも車で10分程度の距離だと説明すれば納得するはず。そもそも、これからやらせてくれる女の頼みをむげに断る男なんてそうはいない。
まんまとターゲットを運転席に押し込んだらあとは道順を指示し、ある地点まで誘導。そこで待機していた別働隊の車が、私たちの車と軽く追突するのだ。本来なら警察を呼ぶところだが、ここですかさず私がターゲットに耳打ちする。
「いま警察呼ばれたら飲酒事故ってバレるで。相手にお願いして示談にしてもらおうよ。私も半分負担するから」
知っての通り、現在、飲酒事故への罰則はめちゃめちゃ厳しい。免許が取り消しになるのはもちろん、罰金も最大で50万は取られる(酒酔いなら100万)。示談で済ませたがっても不思議じゃない。いや、たいていの男は示談を選ぶだろう̶̶。
説明を終えた山口さんが得意げに言う。
「まあ、仮に100万で示談したら、たった一晩で50万(半分は私の負担という設定につき)やで。完璧やろ?手伝ってや、ユキちゃん」
提示されたバイト料は成功1件につき10万。わお。迷うことなく、私は話に乗った。後日、私は夜の繁華街に立った。
簡単にコトが運ぶかやや不安だったが、ターゲットをバーに連れ込むまではあっさり
と成功した。いかにもヒマそうに往来へ視線を投げかけていると、瞬く間にスーツ姿のサラリーマンにナンパされたのだ。そこからは山口さんが上手く場を仕切った。店からのサービスと称し、ちょいちょい強めの酒をターゲットに振る舞うのだ。気分よく酔わせ、しかし決して潰さぬ程度に。絶妙の加減だ。私も色仕掛けで攻めた。会話を盛り上げたり、さりげないボディタッチで、男のスケベ心をあおっていく。入店から1時間、さあ、ここからが勝負やで。
「ねえ、これから私のアパートで飲み直さへん?」
物欲しげに太ももをさすると、男が充血した眼を向ける。
「どこに住んでんの?」
「●●町なんやけどな、実は車で来てんねん。私、かなり酔うてるし、運転も下手やし、代わりにハンドル握ってくれへん?」
案の定、男は露骨に顔をしかめた。
「アカンアカン。俺かて相当飲んでるがな。代行を呼べばいいやんか」
「大丈夫やって。こっからなら10分くらいで着くし」
甘えるように頬にキスをすると、男は折れた。
「しゃーないな。車どこに停めてんねん」 
よっしゃ! 付近のパーキングに停めてあった車に乗り込み、男が慎重にアクセルを踏み込む。車は私の指示通り、国道をそれ、夜の住宅街に入っていく。
やがて入り組んだ路地の先に美容院が現れた。これが見えたら別働隊にメールを送る手はずになっている。
〈例の美容院を通過します〉 
実はここからどういう展開になるのか具体的には聞かされていない。いったいどんな形で事故が起きるのか。 
まもなく、車が狭い十字路を右折しかけたとき、いきなり正面がまぶしくなり、車内にドンと衝撃が走った。どうやらヘッドライトを消して待ち伏せしていた車が、突っ込んできたらしい。げげ。まさかこんな強引な方法で追突してくるとは……。
間髪入れず、車から男が二人降りてきて、ターゲットに近寄った。
「いきなり曲がってくるなんて危ないやんか」
当然のようにターゲットは反論する。「は?そっちこそライト点けてたん?ぶつかるまで全然わからんかったで」「…ん、あんた酒飲んでへんか。めっちゃ臭うで」
突っ込まれた瞬間、男はハッと息をのんだ。勝負アリだ。予定通り、すかさず私はターゲットに耳打ちをし、示談するよう勧めた。ここで警察を呼ばれると、いかに不利益かをこんこんと説いて。 
男は私が提案した100万の金額にはじめはギョッとしたものの、やがて納得した。
男と数時間を共にするだけで10万円。これほど割のいいバイトもそうはないが、結局は長く続かなかった。リーダーの山口さんが、別件で逮捕され(覚せい剤)、塀の中に入ってしまったからだ。まあ、それで良かったのかも。あのまま続けていたら、いずれ私もタダでは済まなかっただろうしね。