出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いや口説きに体当たりで挑戦したブログです。

生命保険の女性勧誘員は契約のために客と寝る神話は本当か

テレビのワイドショーは連日、保険金サギの話題で盛り上がっていた。カレーがどうした毒がこうしたという流れの中、世間の耳目はある夫婦に集中したようだが、私はそんな動向にはどうにも興味が沸いてこなかった。それよりも、保険、保険と毎日のように耳にすることで、否応なく浮かんできたのはこんな神話だ。
「生命保険の女性勧誘員は契約のために客と寝る」
元生保レディの書いた暴露本などでもしばしば触れられているように、この噂はあまりにも有名である。聞くところによると、日本人成人男性の5分の4が加入済みだという生命保険。

数千万人も加入者がいれば、ひょっとすると読者の中には、すでに神話の存在を確認済みの方がいらっしゃるやもしれない。しかし、私はそのあたりのことがどうにもよくわからない。

というのも、フリーライターという仕事をしていると、求めてもしかたないとの思いから、安定した老後や不安のない老後といったことについてまったく考えが及ばなくなり、当然のことながら「将来を見据える」ことを目的とした保険というものにも縁遠くなるからだ。はたして生保レディの神話はどこまでホントなんだろう。

「そんなのしょっちゅうあることだよ」なのか、「そりゃないでしよ」なのか。そこで私は生命保険への加入を考えるフリをすることで、神話の真偽を問うてみることにした。強引に勧誘を迫る彼女らに渋い顔を見せ続ければ、最後の手段として肉体を提供せしめることができるのだろうか。

手始めに私は、知り合いであるところの現役生保レディに話を伺うことにした。なにせ保険のホの字も知らないのだから、知識を仕入れておかねば。保険そのものについての解説を受けた後、内部の人間はこの生保神話についてどんな認識を持っているのか尋ねてみると、彼女は笑いながら、噂としてはないこともないんですよ、と言う。

あのコの男にこびたようなしゃべり方は怪しい、どこそこの営業所にはテレクラで客を捕まえている子がいる。そんな噂はよく耳にするのだそうだ。部外者にしてみれば、なぜそこまでやる必要があるのか疑問に思ってしまうが、我々の想像以上に生保のノルマは厳しいらしく、特に多くの会社の締め日前はとにかく誰でもいいからというぐらいの駆け込み状態になるという。

過酷なノルマと、顧客の生保離れ。そこでは巧みな営業トークなど意味を持たず、効果を持つのは実の部分のみ。すなわち体だ。
「あくまでも噂ですけどね」笑う彼女だが、私が思うに、事態がまったく想像だにできないことなら噂は立たないはず。頻繁に噂になるというのは、周囲の女性たちにも「いざとなったらやむを得ない」と考えてしまう現実があるからではないだろうか。

彼女の言葉は神話の実在を証明していると考えていい。後は目の前で現場を押さえるだけだ。保険なんてのは強固に勧められて渋々契約してしまうのがパターン。

わざわざこちらから申し込むのはどうにもおかしいし、どうにも方法がないので、私は各生保会社に片っ端から連絡して説明を聞かせてもらうという名目で自宅に呼ぶ作戦をとることにした。調べたところ、国内の生保会社は数十社。そこから男性営業マンが多いという外資型生保(前述の生保レディの情報)を除き、順番に電話をかける。
水曜日当日。慣れない掃除を終え私は来客を待った。折り目正しいスーツ姿の男。気持ち悪いぐらいの笑顔だ。
「先日はお電話ありがとうございました。私、安田生命の〜」
用のないのがいちばん先に来てしまった。
「松本様はどういった種類の」
「いえいえ、まだなんにも考えてないんですよ」
話が長くなるとマズイので、ドアを後ろ手で開けたまま玄関口でパンフレットを受け取り、丁重にお引き取り願うことに。呼んでおいてそりゃないだろとも思うが、用がないのだからしょうがない。
午後1時。2人めの訪問者は明治生命のお姉さんだった。30代半ばだろうか。お世辞にもあまりキレイな方とは言えないが、男に来られるよりはマシである。門前払いすることはない。

招き入れると、彼女はいきなり機関銃のようにしゃべり始めた。貯蓄タイプがどうこう、掛け捨てがどうこうと専門用語が飛び交う。本来の目的は別のところにあるのだが、説明を受けたいと電話した以上、聞かないわけにはいかない。私はフンフンと領きながら耳を傾けた。

久本雅美のようなさばけた口調には、楯びてくるような印象はない。また、色目を使ってくるかどうか時折様子を伺ってみたが、チャキチャキと事務的に話を進めるだけで、そんな素振りもなし。

部屋に女性と2人きり、という状況に変わりないはずなのに、どうにも色っぽいムードになっていかないのはなぜだろう。まだ陽が高いせいなのか、あくまでもビジネスの場だからか。

結局私は、数十分の説明を受けた後、他社と比較検討の上で連絡すると結論づけた。嘘ではない。明治生命だけでは判断のしょうがないではないか。むろん、比較するのは保険内容ではないが・・・

午後3時、「お会いするのを楽しみに〜」との台詞を口にした日本生命から電話がかかってきた。今から参りますと言う。
「あの、それで2人で伺ってもよろしいですか」
「2人?」
「ええ、今、上の者と一緒におりまして……」
「まあ、いいですけど」
さすがにダメですとは言えまい。渋々承知することにした。やはり若い女性1人で男の部屋に上がるのは抵抗があるのだろうか。まもなくやってきたのはMさんと名乗る女性と、その上司。Mさんは20代前半だろうか、結構かわいい。上司の方は40代。こちらは
かなりバリバリやってる感じの女性だ。

2人並んで腰掛けた彼女らから、明治生命同様に小難しい解説が始まった。Mさんが説明を担当し、その様子を見ながら上司がうなずきつつフォローを入れる。まだ慣れない新入社員が先輩に付き添われているようなその様子は、まるで新人研修を見ているようである。ひと通りの説明が終わったころ、私事なんですがとの前置きの後、上司がこう切り出してきた。
「この月は生命保険月でして、ノルマが3倍なんです」
苦しい時期だからウチのかわいい営業部員をぜひ助けてやってくださいという意味らしい。同情を誘ってきたのか。今月が苦しい月だということはあらかじめ知っている。知っているからこそ今月行動に移したのだ。助けてほしけりや、それなりのものを提供してもらわないとね
「へえ、それでMさんはどれぐらい達成したの?」
意地悪な質問に「まだまだです」とうつむき加減に答えるMさん。見るからに押しの弱そうな彼女、この仕事は向いていないんじゃないかとさえ思えてくる。
「松本さんからの雷話は神の声に聞こえました」
わざわざ客から電話がかかってくるなんてことはないらしく、神の声というのも決して大げさな表現ではないようだ。マニュアルのおかげなのか、保険の説明に関してはさすがにしっかりしているが、ふと話が本線からハズれると、普通の女の子としての素顔が覗く。

そのあたりに突け込む余地ありと見た。とはいえさすがに2人で来られると、今ここで肉体関係に進展させるわけにもいかない。検討してみますと答えて、この場はお引き取り願った。明治生命が久本で、安田生命が男。

となればもう狙いは1人しかいない。日本生命のMさん。まだあどけない表情の残る彼女が、今回のターゲットだ。
はたして加入を渋るブリをし続ければ、色気作戦を仕掛けてくるのか。いくら若いとはいえ女ならば肉体が武器になることぐらい知っているはず。最初にこちらから電話をしておいて渋るというのも変な話ではあるが、まあ、こういう契約事において慎重になる心理はわかってくれるだろう。

数日後、Mさんより電話が入った。検討の結果を聞きたいのでまた訪問したいという。望むところだ。初回は顔見せ程度だったから本題に入れなかったが、次には何かしら展開があるに違いない。

もちろん検討の結果はこうだ。「決定力がないんだよね」すぐにでも加入したいところなんだけど、もうひとつ魅力に欠ける。何か決定力があればいいんだけどな。Mさんとて立派な大人。

こう言えば何を意味しているか理解できるはず。ところが彼女はまたしてもあの上司を引き連れてやってきた。やはりいきなり襲われたりする事態を危倶しているのだろうか。何も私は襲おうとしているんじゃない。提供してくれるならいただきますという姿勢なのだ。
「福利厚生が整っているならいいんですけど、松本さんの場合、いざというときの保障がまったく何もない状態ですから」決定力不足を持ち出す私に対し、その意味するところもわからないまま、今の生活状態は危なっかしいと心配そうな表情を見せるMさん。
まったくそのとおり。

もし今入院でもしたら、目もあてられないことになるだろう。しかし、人の不安な部分を突くその勧誘方法は、あくまでも一般人に対してなら有効なのだろうが、こと、体目的の者にはまったく意味がない。

が、そんな企みを知るはずもない彼女は、あれやこれやと提案しながら、あくまでも保険を見直すことによって納得のいく形にしていこうという姿勢を保ち続けたまま。どうしてわかってくれないんだ。

私はあなたが胸元をはだけてくれれば印鑑を押すんだよ。ここまで読まれた読者の皆様は、なぜストレートに言わないのかと思われるかもしれない。なぜ無理矢理にでも誘ってしまわないのかと。もちろんその方が展開が早いことぐらい、私にもわかる。しかし、それではマズイのだ。

たとえば営業所から出てきた女性になりふり構わず声をかけて「ヤラせてくれたら保険に入る」とストレートに伝えればうまくいく可能性はある。たとえばいかにも軽そうな女性が現れるまで何人も何人も部屋に呼びつければ、いずれは目的を達せられるかもしれない。でも、それは神話とは呼べない。
それは、契約というモノで釣り上げる生保レディナンパだ。援助交際となんら変わりない。この神話は、彼女ら生保レディが普通に顧客を開拓していくなかで、最後の手段として自ら進んで肉体を提供してくるかどうかがポイントなのである。

つまりこの状況における私は待つしかないのだ。いつMさんが出してくるのかを。彼女は美人だから、男が何に弱いのか経験則で知っているはず。待てばアクションを期待できる女性だと言える。

ただ、問題はいつも上司を率いて2人でやってくる点だ。上司が横にいたんじゃ、こちらとしてもくだけた話をふれないし、彼女も”自らの力“を出すわけにいかないだろう。もし2人きりになれればきっかけぐらいはつかめるだろうに。

チャンスは意外と早くやってきた。別件の取材で日暮里にいたとき、「改めて説明させてほしい」とMさんから携帯に連絡が入ったのだ。しかも自宅へ帰る途中に寄りますとのこと。つまり今回は彼女1人で来るわけだ。

日暮里駅前の喫茶店、午後6時。収入が不安定で支払いが心配だという無理矢理作った不安材料を抱える私のために、Mさんは新しいプランを作って持ってきてくれた。死亡したときの保証が少ない代わりに保険料が安くなっているという。

もはやそんな次元の問題ではないことに、なぜ気つかないのだろう。なぜ飲みにでも行きましょうかと誘ってこないのだろう。私は話題をそらして、彼女の意識を我が目指す方向へと誘導していった。
「Mさん、若いのにしっかりしてますよね。僕はこういう方、好きなんですよ」
「え、そうですか。私なんて、ただの頑固者ですよ」
「でも、明るいしかわいいし、話していて気分がいいですね」
まあ、これはお世辞でもなんでもなくて、実際にそういう感じのコなわけだが、この場でのこの台詞の意図は、つまりあなたの魅力で私は落とせるんですよと知らしめること。

Mさん、鈍感だからここまで言ってあげないとわかってくれないのだ。すると彼女、これまでは上の者がいたから話せなかったんですけどと、唐突に自らのことを語り始めた。

生い立ち、学生時代、友人、家族、そしてなぜこの業界を職場に選んだのか。まだ出会ってわずかしか経っていないのに、いや、経っていないからこそなのか、私は彼女の話を興味深く聞いた。

そして、間くうちに、Mさんという女性の本当の姿、生保レディとは別の顔を知ることになる。保険業界に身を置きながらも、夜間学校に通って新たな目標にチャレンジしている。どんな世界だろうと負けるのは嫌な性格だ。大きな夢を持つ友人に囲まれて刺激を受けているetc…。

もう夜も遅い喫茶店で、Mさんは熱く語り続けた。時計の針はすでに夜の22時を回ろうとしている。保険契約の話はまったく前進せず、話題は彼女自身のことに終始している。いまどきの若い女性の意味もな
いガンバリズムには辞易する私も、上司の前では押しの弱さばかりが目立った彼女が、実にいきいきと話す姿を目の当たりにして、ほのかな好感を持ち始めた。なぜ彼女はこんなことを夢中になってしゃべるのかその真意がどこにあるのか、私は薄々気ついている。

誰だって、どうでもいい相手に対し自らのことをベラペラ話したりはしない。特に女性は、自身の真の姿を包み隠そうとするものだ。要するにこの展開は彼女が私に心を開き始めた証拠。このまま食事に流れアルコールが入れば、行くところまで行く。そういう状況なのだ。

そろそろ食事にでも行こうかと考える私だが、いつまで経ってもMさんの独白は終わらない。そして内容はあらぬ方向に展開する。彼女、入社したてのころ法人担当になり、いろんな会社を回らされたらしい。

生保レディと言えばおばちゃんが多い中、珍しく若い彼女は、行く先々でホステスのような扱いを受け、「ネエちゃん、こっち来い」だのなんのといったセクハラ発言を浴び、その心労が原因で体調を崩したのだそうだ。

「そこで考え直したんです。私は私のやりかたでやっていこうって」
こびるのでもなく、強引にでもなく、商品の魅力と欠点を同時に伝え、納得して加入してもらうことにしよう。それでダメならそれまでだし、嘘をついて成績を上げても目分のためにはならないから。私は男にこびたくない、確かに彼女はそう言った。セクハラ男は許さないとも言った。それは、この場の空気を察した彼女の意思表示のように聞こえた。