出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いや口説きに体当たりで挑戦したブログです。

恋人紹介業の客に金を払わせるための実に巧妙な仕掛け

出逢い応援します
「一般男女出会いセンタ‐渋谷035485-××××」
これが男女紹介業者の宣伝であることは明らかだろう。普通に考えれば、恋人を探している男女を繋げてくれる場、という感じか。
しかし、媒体が記事を見つけた夕刊紙の三行広告柵といえば、ホテトルを始めとした裏フーゾク業者がひしめく場。金銭の介在を抜きにした健全な出会いを提供してくれるとはとても考えにくい。とりあえずあった番号に電話をかけてみると、こんなテープが聞こえてきた。
「パートナーセンターM(店名のイニシアル)です。Mは初の一般の男女を即ご紹介する日本唯一のシステムで、今年で満9年を迎える実績があります。デートクラブテレクラではありませんので、初心者の方でも安心して即日にご利用することができます。それではシステムを簡単に説明します…」
内容は、やっぱり平凡な恋人紹介業…であれば、わざわざこの本で取り上げることもあるまい。まずおかしいのは、「即日紹介」をウリにしている点。この手の業者で即日をうたうのは異例であり、そういう意味では「日本初」なのかもしれないが、とても現実的とは思えない。

サクラでも雇わない限りできない離れワザだ。が、ここはテープを聞けばわかるとおり、「一般男女」を強く主張している。ならばどんな女性会員を用意しているのか。さらに、自動テープの後半に流れてきたシステム説明がどうも肺に落ちない。おおまかな手順を記してみよう。
①プロフィール、年齢、身長、血液型を伝える。ただし、電話番号等は聞かれない。
②希望する女性の年齢、身長、体重、血液型を伝える。
③Mが持っているデータからこちらの希望に合う女性をコンピュータで検索。
出てきた女性と、Mを介して約3分間電話でしゃべる。
⑤女性とMへ来店するアポを取る。
⑥男性、女性ともにMへ来店し、紹介。
⑦目由にデートを楽しむ。
料金は、入会金が8千円、紹介料7千円。さらに、紹介のコースが3種類に分かれていて、割り切りコース、マジメな男女交際コース、結婚コースの中から選ぶことになっているらしい。いかがなものだろう。よくいえばユニーク、悪くいえば相当疑わしい要素に満ち満ちている。

確かに、①や②はどの男女紹介業でも当たり前のように用意された項目だ。結果、③に至るのも不自然じゃない。問題は次の④。その場で女性と電話で会話できるという。コンピュータが選び出した相手と別に話ができるということ自体は、単純に考えるかぎり親切なシステムとも取れる。どうせアポを取るのなら、トークのノリが合う女性にしたいのは誰しも同じであろう。

しかし、女性側だって仕事で遅くなったり、他に予定が入っていたりして、その日のうちに連絡がつかないこともあるはず。これを含めた上で「即日紹介」と言い切る自信はどこにあるのか。
また、割り切り(要するに援助)、マジメな交際、結婚という選択肢も、かなり大胆な分け方である。援助や恋人はまだわかるにしても、結婚だぜ、結婚。売春を仲介してるような業者に、一生のパートナーなんかお願いできるかっての。自動案内テープの最後に「受付のお電話番号は090の…」と携帯の番号がアナウンスされていたのので、そちらにかけてみることにした。「モシモシィー?」と出たのは、テープの自動音声と同じカン高い声の男だ。
「あの、入会したいんですけど。今日紹介してもらえるんですか、ホントに」
「ええ、大丈夫です。何ご覧になってかけました?」
「Nっていう夕刊紙…」
「ああそうですか。ちょっと今ね立て込んでるんで、5分後にまた電話もらえますかあ」
どことなく落ちつきがなく、一本調子の個人的にかなり苦手なタイプだ。5分後、言われるままに再度ダイヤル。と、相手は悪ぴれる様子も見せず、先ほどとまったく同じことを言う。その5分後はコール音が鳴るばかりで、電話にすら出ない。いったいどうなってるんだ。

俺の経験から言わせてもらえば、こうやってマトモには取り合わず、先延ばしにしながら客側の本気度を確かめるのは、ウサン臭い業者がよく使う手に他ならない。が、この男の場合、聞く耳持たずというか、こちらが少しでも口を挟もうとすると「お願いします」と一方的に電話を切ってくる。

こっちの方が本気度を確かめたくなってしまうくらいである。何度かりダイヤルし、やっとつながったのはそれから10分後。と、今度は「こちらからかけ直すので、携帯の電話番号を教えてくれ」という。テープでは、電話番号はいっさい聞かれないと言ってたハズだが。
「おかしいですね。こっちの番号は教えてなくてもいいと思いますけど」
「じ、じゃ、もういいです。お断りしますよっ…ガチャ」
オレはア然としてしまった。客をなんだと思っているのだろう。場合によっては、こうしたツレない応対にかえって信頼感を覚えることもあるが、まさか「もういい」とまで言われようとは。

よし、こうなったら意地でも入会してやろうじゃないか。1時間後、再びMへ電話を入れると、今度は機嫌が戻ったのか、男はマトモに応対をしてくれた。とりあえず渋谷駅の近くまで来てくれとのこと。急いで山の手線に乗り込み、駅前のファッションビル「109」の前から電話をかけてみる。
「ああ、さっきの方ね。希望するコースはどれでしょ瑳込オレは、マジメな交際コースを選択。というのも、割り切りコースだと、単なる援助希望のホテトル嬢を紹介されるのがオチだと思ったからだ。

どんな女が出てくるのか見物ではあるが、援助金ナシでヤレれぱ十分のオレにとってはあまりに荷が重すぎる。とはいえ、どのコースを選んでも、同じ女が出てきて「援助してネ」なんてオチがつくことも十分ありえる。何の属性もないこのコース分けに翻弄されるのもバカバカしい。
「それじゃ、こちらの質問に答えてもらえますか」
男が尋ねてきたのは、こちらの年齢、出身地、住んでいるところ(区名、町名など)、身長、体重、血液型。オレは背格好以外、すべてデタラメで答えた。
「そしたらね、希望する女性のタイプをお聞きします」
今度は、希望する女の年齢、身長、体重(ヤセ型かポッチャリ型か)、住んでいる区域の質問。
「希望の髪型は?」
「長い方…ですね」
「色白と焼けてるのどっち」
「…色白」
ずいぶん細かく聞いてくるもんだが、オレの出した希望は「中野・世田谷・渋谷区周辺に住んでおり、身長低めで髪は長め、ポッチャリ型でA型の色白女性」。当てはまる絶対数を考え、なるべくありがちな答にしたつもりである。

その後、男は何かを読み上げるような口調で「女性会員と内密に電話番号を交換したりしないこと」「会うときは必ず事務所で待ち合わせてから」といった規約を長々と語り始める。

にしても、つくづく神経に触るしゃべり方だ。男が言うには、女性と3分間電話で話した後、お互いの印象を別々に尋ねるので、もし気に入らなければ何なりと言ってほしいとのこと。逆に、女性が拒否する場合もあるので、承知しろという。もちろん、事務所でのご対面は双方のOKが出てから。面倒くさいがここは従うしかないだろう。
「じゃ、こちらのコンピュータで検索してみますんで、10分ほど経ってまた電話ください」指示どおりに電話をかけ、受付番号を告げる。さあどう出るか。
「女性が見つかりましたよ」
ホントかよ「いいですか、メモのご用意は。まず、中野区にお住まいの野本さん。この方、25才の美容師ね。もう1人、世田谷区の林さん。27才でOLやってる方です」
これを聞く限り、条件は合致し
ているようだ。両者のうち1人を選べと男は聞いてくる。「じゃあ、野本さんの方を」とオレ。とはいえ、これだけの情報だから判断の根拠はない。
「わかりました。じゃ、いったん切って今から言う電話番号へかけてください。そちらの回線の方でお繋ぎしますので」
というわけで、教えられた一般回線の番号へダイヤル。出たのはやっぱり同じ男だった。どうやら、事務所に複数の回線をひいているらしい。そのまま待たされること約2分。
「モシモシィ?野本ですゥ」第一声は、確かに25才でもおかしくはないほどの若い女のそれ。さんざん男の声とトークを聞かされただけに、俄然元気が出てくる。さあここからが正念場。なるべくスマートに口説いて、会う約束をしなくちゃ。と意気込んだとこ
ろが。
「今から会えますかあ」
オレがロクに自分のことを話さないうちに、女はいきなりそう切り出してきた。テレクラでも、こんなことは滅多にない。それともよほど男に飢えているのかね、キミは。
「オレは会えるけど、野本さん、仕事はもう終わったの?」
「終わったよ」
「じゃ、今どこいるの」
「家。中野の方の」
「中野のどの辺?南口の方?」
「それは会ってから話すわよ」
結局、アポを取るのに、わずか3分とかからなかった。ふと時計を見ると、午後8時過ぎ。この時間にもう帰宅しているとは、さぞかしヒマな美容師なんだろう。今ドキの美容室は、8時くらいまでなら余裕でやっているはず。明らかに不目然だ。

午後8時オレは渋谷駅から5分ほど歩いた裏通りに立っていた。女とのアポが取れたことを電話で告げると、この場所で待っているように言われたからだ。おそらく事務所のスグ近くと思われるその界隈は、ちょっとしたオフィス街になっており、人影もまばら。

と、向こうからこっちへ近づいてくる男が1人。漫才のセントルイスの背が低い方に似たその男の身長、約140センチ。カン高い声の主はこいつか。男は、スタスタとオレを先導しながら、前方のマンションへ入り、エレベータの4階ボタンを押した。
「夜になると、ヘンな人が多くなっちゃうんでね。だからこうやって慎重になっちゃうの。わかるでしよ?」
エレベータの中で男は言う。何をワケのわからんことを・・・と思ったが、言葉の真意は4階の事務所へ入った瞬間に判明する。
「アナタ、ちょっとその黒いバッグの中、見せてもらえませんか」
「いやね、カセットテープとかカメラとかね、そういうの持ってきて撮ってやろうって人がいちゃ困るからね」
いきなり冷や汗タラタラになるオレ。バックの中には部屋の様子を隠し撮りするためのカメラを忍ばせておいたからだ。

結局は、たまたま入っていた週刊誌に挟まっていたのでコトなきを得たが、あきらかにマスコミの潜入取材を警戒しているのがわかる。逆に売り込んでくるのならわかるが、これでは後ろめたさを露呈しているようなもんだ。事務所は、8畳ほどの典型的なワンルームだった。さっそく中央ソファに座らせられる。
が、肝心の野本嬢は見あたらない。待ち合わせの9時までには少々あるから、少し早く来すぎたか。「あの、野本さんはまだですか」
「野本さん?ああ今は青山店の方で受付されてるんですよ。ちょっと彼女の都合で、この後にお会いしてもらうことになっちゃいまして」
なに?そんなことは一言も聞いとらんぞ。彼女とは「9時に渋谷の事務所で」とハッキリ約束したはず。だいいち、なんなんだ、青山店って。男はこのスグ近くにある支店だと言っていたが、それならなぜここへ呼んでもらえないのか。
「野本さん、こっちに呼んでもらえませんかね。私、待ちますよ」
オレがそう言うと、男はムキになりながら「後で必ず会えますから」と繰り返す。まあいい。確かに、恋人を探している男女を初顔合わせさせるのに、こんな狭苦しい部屋じゃあんまりだろう。

おまけにさっきから鼻を突くこのニオイ。ネコを飼っているのだろう、独特の動物臭が漂っている。ン?突然、部屋の中を見回したオレは、ある重要なことに気づく。ない。膨大な会員データが詰まっているはずのコンピュータの類が見あたらない。これも青山店にあるってワケか?

が、そんなこと以上に怪しいのが、ここMのホントのシステム・そこには、否が応でも客に金を払わせるための実に巧妙な仕掛けが組まれていたのである。
男が改めて話したMのシステムを大まかに説明しよう。少し込み入っているがよく読んでほしい。

まず、入会金は男女とも8千円。ここまではいい。あざといのは、紹介に際しての料金の方だ。実は、紹介料の7千円は、あくまで1回の紹介料。紹介を5回分希望すれば、7千円×5の3万5千円が必要になるらしい。

しかも、特典として6回分、つまり4万2千円以上の紹介料を払った男女には、カップル成立となり次第、その半額以上の商品券をプレゼントしているという。VISAや大手デパート系のモノなので、金券屋で現金に変えることも可能とのことだ。当然、紹介の回数が多ければ多いほど、カップルになれるチャンスは増える。

男が「6回以上の方がおトクだよ」としきりに勧めてきたのも納得がいく。結局、オレは1回分の紹介を希望した。とにかく女に会えれば必ずなんとかなるだろうと踏んでいたのだ。

タダでホテルへ行けるという目算もないではないが、2人きりに持ち込んでしつこく追及すれば、Mの真偽も明らかになるだろう。ところが、ここに最大のミソというより穴があった。

実は、一種の還付金ともいえるこの商品券、たとえカップルが成立したとしても、両者のうち「希望していた紹介回数が少ない側」の分しか受け取ることができないのだ。例えば、最初に6人の紹介を希望していた男と、9人紹介希望の女がカップルになったとしよう。

すると、回数の少ない方、つまり男の6回分に応じた枚数の商品券しかもらえないことになる。ちなみに、今から会う野本なる女性の希望はなんと10回分。彼女は恋人欲しさに7万8千円もの金をこのMに払っているらしい。美容師という身分からすれば、破格中の破格だぜ。仮にオレとウマクいっても、こっちはわずか1回分なのでもらえる商品券はゼロ。
「だから、1人分だとまず間違いなくチェンジされちゃうって言ってるじゃないですか。それでもいいんですか」
「結構です。紹介は1人だけにしてください」
オレはしつこく営業してくる男を振り切り、そう言った。こっちの狙いはさっきと変わらない。力ップルになれる保証もないのに、詔誰が7万8千円も払うかっつーの。