出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いや口説きに体当たりで挑戦したブログです。

出会いの場所として山は最高

弟に先に結婚を決められた。ホントのホントに悔しい。兄のオレは結婚どころか恋人すらいないというのに。未だ独り身なのは何故かしら。弟に先を越された今、いよいよケツに火がついた。恋人探しは一人でこっそりやるとしよう。一人でこっそり。実はオレ、そういうときには結構マジメな性格になる。浮かれたギャルよりお堅い女子に注目がいっちゃう。甲斐甲斐しくお弁当を作ってくれるような子とでも言いましょうか。
こっそり考えた結果、幸せの青い鳥は山にいるってことになった。山ガール、あれこ
そがオレの理想とする女子なのだ。自然を愛するってとこが、カワイイじゃないですか。休日に山登りって、その発想の爽やかなことよ。渋谷とか新宿は苦手な子って、いかにもタコさんウインナーのお弁当作ってくれそう!
10月。高尾山に出かけてみると、紅葉シーズンのせいか、登山客がやけに多かった。本格的な登山ブーツを履いてるジジさん、はとバスツアーノリで来てるバアさん、子連れファミリー̶̶。
そんな中、なるほど評判通り、若い女の子たちの姿もちらほら見える。色鮮やかなウ
ェアを着た山ガールたちが、元気よく山を登っていく。いいなぁ。エロスも何もないけど、心が洗われる!いざ、オレもひとりで山を登り始めると、彼女たちのうから次々に声をかけてきた。
「こんにちはー」
山では他の登山者とすれ違うとき、挨拶をするのがマナーなのだ。そして、そのまま自然に会話が進む進む。
「疲れましたね」
「そうですね」
「どこから来たんですか?」
「下北ぁー」
「ホント?ぼく今晩、下北行こうと思ってたんだ。よかったらメシでもどう?」
「…今日は用事があるんで」
ま、何事もトントン拍子にはいかないもの。かくして山デビュー初日は、なかなかの好感触で終了した。出会いの場所としては最高だと実感した。結婚式では司会者に「新郎新婦は、紅葉あざやかな山で出会い〜」と言ってもらおう。待ってろ、弟。オレは靴やウェアを買い込んだ。お洒落に登るのが山ガール流、こっちも山ボーイでキメるのが礼儀というもんだ。でも2度目の登山でも結果は出なかった。3度目は、登山者の少ない、もっと山の深いところまで行ってみることにした。山ガールたちとすれ違うとき、こんな場所で出会うなんて!
とビックリさせれば会話の進展率がアップすると考えたのだ。そしてその日、オレは隣の山、景信山の頂上でOLさんと昼飯にこぎつけた。うわぁ、こんな出会い、今までの人生でなかったぞ。恋ってこうやって始まるんだな…と思ったけど、結局、下山は別々になり、そのまま連絡は取れなくなった。やや詰めが甘いか。スマートにし過ぎてる気がする。
4度目の高尾山。オレは景信山もさらに越え、より山奥へ向かった。3時間ほど歩き続けたところで、手頃な場所までやってきた。矢印の看板が登山道の順路を指している。オレはそれを掴むや、力まかせに獣道のほうへ向けた。これで良しっと。 
草むらに隠れて待ってると、後ろからちょうど女の子がやってきた。矢印に誘導され、獣道のほうに歩き出す。しめしめ、これで彼女の行く手には道がなくなる。陽が暮れれば軽いパニックに陥るだろう。そこに登場する頼もしい男性。どうだこれ。じゃ、そろそろ一緒に遭難しに行こ
っと。草むらから飛びだしたオレは、看板の向きを直し、彼女を追って獣道に入った。
「こんにちは。一人ですか?」
「あ、そうです」
「一緒に歩きましょうよ」
彼女を先導して歩き、どんどん奥に入り込む。道はもはやヤブだ。
「この道、大丈夫でしょうか?」彼女が立ち止まった。
「大丈夫だよ」
「……でも」
「大丈夫だって。登山にはこういう道もあるんだから」
「ホントに?」
「ホントだって」
「だけど、もう暗くなるし、私ちょっと恐いんだけど」
彼女がジッとオレの目を見つめきた。よしよし、予定通りだ。もうちょっと奥に行けば、ビビって抱きついてくるぞ。
「私、ちょっと戻って見てこよっかな?」「そんないいよ」
「いや、私見てくる」
彼女が小走りに、来た道を戻り始めた。こんなに奥まできたのだ。どうせ登山道には戻れやしない。そのうち恐くなって、引き返してくるはずだ。 
オレは地べたに腰掛けて、彼女の帰りを待った。
陽が落ちても彼女は戻ってこなかった。泣く泣く引き返したオレが登山道を見つけるまでに要した時間、3時間。死ななくてよかった。